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【102】 手足口病とヘルパンギーナ
25.7.31.

「お子さんは手足口病だと思います。もう一度お医者さんに診てもらってください」
 ある母親が、保育士さんからそう言われたと来院しました。
 実は、私がヘルパンギーナと診断し、治癒証明書を書いた患者さんだったのです。
「うーん、困りましたね。手足口病でもいいんですが」
「ヘルパンギーナと手足口病に一緒にかかってしまったのですか」
 もっともな疑問ですが、実は、同じウイルスがヘルパンギーナも手足口病(厳密には似た症状)も起こしていたのです。
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 ヘルパンギーナを起こすウイルスには、コクサッキーウイルスA群1,2,3,4,5678,9,10, 16, 22型、コクサッキーウイルスB群1,23,4,5型などがあり、
手足口病を起こすウイルスには、コクサッキーウイルスA群16とエンテロウイルス71を主として、コクサッキーウイルスA群567810、コクサッキーウイルスB群23型などがあります。
 ご覧のように同じウイルス(太字)がヘルパンギーナも手足口病を起こすことがあり、両者の中間のような症状になる場合もあるのです。兄が手足口病、妹がヘルパンギーナと家族内で発症したケースもありました。
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 以前は、ヘルパンギーナも手足口病も特徴的な症状の方が多かったのですが、最近は、どっちと診断してもよいケースの方が増えている印象があります、
 2009年以降、それまで主にヘルパンギーナを起こしていたコクサキーウイルスA群6が、手足口病を起こすようになったのが原因かもしれません。今年も手足口病の患者さんから全国的にA群6が検出されています。
 両者の典型的な症状は、おしゃべり48を参照してください。

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【101】 汗の話
25.7.23.

 暑い夏がやってきました。夏といえば汗、汗について少しかきます。
 汗の主な役割は、体温を下げることですから、汗の様子を見ていると体内のことが色々と分かります。

●快・不快
 暑さにはつきものの汗は、ときに快く、ときに不快なもの。その違いは体が汗をかきやすくなっているか、いないかの違いといえます。
 日ごろから運動をして汗をかいている方は、気持ちのよい汗をかけますが、運動不足の方は、じとっとまとわりつくような汗に悩まされます。日頃汗をあまりかかない寒冷地の方が、急に暑さに出合った時も似たようになります。

●赤ちゃんの汗
 赤ちゃんは暑がりで、ちょっとしたことで汗をかきます。おっぱいを飲んで汗、眠りについて汗、ちょっと厚着でも汗。赤ちゃんの体は暑さに弱いので、ちょっとでも不要な熱は汗として捨てているのです。
 赤ちゃんがあせもに悩まされるものそのためで、衣類の調節はなかなか難しいところです。
 基本的には、背中に手を入れて汗を感じるようであれば着過ぎと判断します。睡眠中の温度や上掛けの種類が適切かどうかも、背中でみることができます。

●発熱と汗
 風邪を引いた時の発熱は、体温を上げることによって免疫力を高めようとする体の防御反応であることは以前書きました。体は発熱するに当たって、手足の皮膚表層の血管を引き締めて熱が外に逃げないようにしてから熱を作りはじめます。皮膚表面に熱が伝わりにくいので寒さイボが立ち寒気を感じます。体は熱いのに手足が冷たいのが特徴です。やがて、十分に発熱すると余分な熱を少しずつ捨て始めます。そうです、汗をかき始めるのです。
 風邪の時、お風呂に入れてよいかどうか迷ったら、手足が温かく汗をかき始めていればシャワー程度はOKと考えます。

●汗いろいろ
 興奮した時、動揺した時、吐き気が強い時などに、手のひら、足の裏、わきの下にじっとり汗をかくことがあります。いわゆる冷や汗です。
 同じ冷や汗でも全身にかく時があります。風邪の後、極度の体調不良などの時にみられるclammy(冷たく湿っている)と言われる皮膚で、発熱がないのに汗をかくので低体温になります。34〜35℃台になることもあります。
 もちろん、この季節忘れてはならないのは熱中症です。汗もかき過ぎれば脱水が起こります。高温多湿な環境での運動をさけ、長い時間炎天下にいないことが大切です。日本の夏は今や熱帯、エアコンをあまり毛嫌いしない方がよいと思います。

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【100】 スポーツは体に悪い?
25.7.16.

 健康のためにスポーツをしましょうといわれますが、健康を害する側面について書いてみます。
●外傷:すり傷、打撲、捻挫、骨折などはありふれたスポーツによる外傷ですが、すべてが軽症という訳ではありません。心臓付近にボールが当たって心臓振盪を起こして死亡した例などが時々報道されます。外傷は、疲れて注意力が落ちている時にしばしば起こります。

●熱中症:私たちの体温が36〜37 ℃で変動しているのは、体が代謝、機能するのに好ましい温度だからで、低温でも高温でも細胞には障害が起こります。適度な温度と湿度の環境で運動する場合、運動によって発生する熱は発汗などである程度捨てることができますが、高温多湿な日本の夏では、運動による熱の捨て場所を失って熱中症を起こすリスク高いのです。せめて湿球黒球温度(環境省は暑さ指数と呼んでいます)を測定して運動の強度を調節するくらいの配慮が必要です。

●筋肉・靭帯損傷:強い運動をすると筋肉には損傷がおこり、何の症状がなくても、血液の中には筋肉由来の酵素が大量に漏れ出ることが分かっています。運動前、筋肉や靭帯は柔軟性が落ちているので、一気に力を加えると筋肉も靭帯も損傷しやすいのです。運動前のウオームアップにより損傷を最低限に抑えることができます。
 思春期は、成長のスパートにより骨が一気に伸びるのが一つの問題。骨には骨端線という成長の装置がついていますが、筋肉・靭帯にはそんなものがないので、ひっぱられる形の負担がいつもかかっており、運動中、筋肉・靭帯は悲鳴をあげています。思春期に多い、膝あたりの痛みを特徴とするオスグッド・シュラッター病は関連の病気です。

●心臓肥大:運動をすると大量の酸素が消費されるので、呼吸数は増え、心拍数も増えますが、慢性的にその状態が続くと、心臓は肥大化しスポーツ心臓と呼ばれます。運動に対する生理的な適応現象と考えられていますが、不整脈が起こりやすくなるという指摘があります。

●スポーツ貧血:運動することにより体内の鉄分が失われて起こる鉄欠乏性貧血、および貧血のない鉄欠乏症をスポーツ貧血と呼びます。足底の血管を通る赤血球が、運動による踏みつけ(footstrike)により破壊され、漏れ出た鉄分が尿として失われると考えられています。

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