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【93】 結核の話
25.5.26.

 日本は、先進国の中では結核蔓延国として恥ずかしい立場にあります。
 それは、高齢者の結核が多い結果で、小児の結核は世界でも高水準に抑制されはじめています。
 もちろん、これは高いBCG接種率に支えられたもので、油断をすれば結核の怖さを再び味わうことになるでしょう。
 BCG接種の重要さは改めて書く必要もないと思いますが、「牛の結核菌など接種できるか」と避けているうち、結核が蔓延した国がありますから他山の石としておきたいところです。
 海外駐在や留学をする方が増える中で、一つの問題が起きています。
 BCG接種のない国に居住する場合、BCG接種をしている日本人は、結核の診断法の(予防接種ではない)ツ反が陽性に出るので、結核感染を疑われてしまうのです。中には、抗結核剤の内服を強制される場合もあるといいます。
 海外駐在予定がある方の中には、そうした煩わしさを嫌ってBCG接種を見送る親もいるといいます。
 現在では、牛結核菌の免疫にも反応してしまうツ反と違い、人結核菌の感染の有無を診断できるQFTやT-スポットと言われる検査が実用化されていますから、BCG接種を避けないでほしいものです。
 海外には、中国、東南アジア、アフリカ、ロシアなど、まだまだ結核高蔓延国が少なくありません。
 昔ほど致死的な病気ではなくなりましたが、発見が遅れると未だに危険な感染症であることには変わりありませんので、ご注意を。

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【92】 ワクチンよもやま話
25.5.18


 皆さんは、ワクチンを何のために接種していますか。
 怖い感染症にかからないようにというのが普通の答えだと思いますが、その怖い感染症をばらまく一人にならないことで、社会に貢献していることをお忘れにならないで下さい。
 最近、風疹が大流行して、世界からは先進国なのになぜ、と訝しがられている日本ですが、過去、ワクチンの副反応による訴訟で責めたれられた国は、ワクチンを薦めることに及び腰で、日本のワクチン行政は世界標準から20年以上遅れていると言われています。
 今年4月から、ヒブ、肺炎球菌、子宮頚部ガンのワクチンがようやく定期接種・公費負担となりましたが、先進国においては、おたふくかぜ、水痘、B型肝炎などもすでに公費負担化されています。
 近年、接種ワクチンの数が一気に増えて、外来で、どのワクチンをうっておけばよいですか?という質問をよく受けます。
 正解は「すべて」なのですが、中にはロタウイルスなど高価なワクチンが含まれることと、クリニックには某かの利益が発生するので、もぞもぞ口ごもりながら、公費負担・助成のあるワクチンだけでも接種してください、とお伝えしています。
 ワクチンの危険性については、どのワクチンも劇薬指定を受けており、それを根拠に接種を見送る保護者もいるようですが、過量に接種するなど使用法を誤ると危険、という意味だと理解してください。劇薬指定を根拠に接種しないのは誤りです。
 ワクチン接種率が下がることを危惧して、ワクチンの副作用が過少に公表されているように感じられます。伝えるべきは正しく伝え、関係者が納得の上で接種するのが望ましいと思っています。隠されているものは却って怖くて近づきにくいともいえます。副作用の検討委員会の委員が、業者から金銭の提供を受けているなどは、もっての外と言わざるをえません。
 ある小児科医の話。「母子手帳の予防接種欄が真っ白な子どもがきましてね、母親に問い質したところ、まったく接種させる意思がないことが分かりました。その時は、(なら、勝手に病気にかかればいい)と思いましたが、後で考えたのです。その子が病気にならないように、世の中の接種率が高まるように運動することはできる、と」頭が下がります。

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【91】 鳥インフルエンザのこと
25.5.13


 今年3月、中国で鳥インフルエンザのヒトへの感染例が報告されて以来、130例以上の報告があります(死亡者30人以上)。65歳以上が46%で、5歳未満の小児はわずか2%に過ぎません。男性が73%と高率ですが、職業的に鳥類と接触する機会が多い方かもしれません。
 今のところヒトからヒトへの感染の報告はありませんが、ひとたびヒトからヒトへの感染が始まれば、前回の豚インフルの時と同様に世界中に広がる可能性があります。
 普通、鳥インフルは鳥から鳥へ、豚インフルは豚から豚に感染するものでヒトには伝染しないものですが、ウイルスに突然変異が起こるとヒトにも感染するようになることがあり、更に、ヒトからヒトへと感染するような変異であれば、そうしたウイルスに免疫をもたないヒトの間で世界的な大流行(パンデミック)になる危険性が考えられます。
【症状】38℃以上の高熱、咳嗽など季節性インフルと類似の症状で始まり、その後、重症の肺の病気を合併する方から、軽症のまま終わる方、中には発症しない不顕性感染の方もいるようです。
 発症前10日以内に中国への渡航あるいは居住歴がある方が、高熱などインフル様の症状を出したときに疑う必要があります。
【診断】鼻汁や痰などから直接ウイルスを検出する方法の他、市販の迅速診断キットを使うことも考えられますが、鳥インフルや変異型Aインフルでは陰性になる場合があると言われています。
【治療】今回の鳥インフルは、タミフル(推奨)、リレンザなどの抗インフル剤が有効だと言われています。発症48時間以内の投与が推奨されていますが、多少遅れても投与すべきとされます。迅速診断キットの不確実さを考えれば、陰性であっても疑いがあれば治療を開始した方が安全でしょう。
【予防】発症者の多い上海を中心とする地域などに行き、ウイルスに曝露されかたもしれない方には、抗インフル剤の予防投与を勧める専門家もいます。(ただし、予防投与は保険診療にはなりません)

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