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【76】 寒気について
25.1.19.

 インフルエンザが流行しています。インフルエンザの発症初期には、必ずと言っていいほど寒気(悪寒)が起こりますが、皆さんは、なぜ寒気が起こるのか考えたことはありますか?
 西洋医学には、それを説明する理屈はありませんが、中国の伝統医学(中医学)には、興味深い理屈が用意されています。
 すなわち、感染症が起こり(免疫を高める)発熱の必要性が生まれると、体内に熱を蓄え皮膚表面には熱を逃さないような反応が起こるというのです。普通、私たちの体表の温度は体内の熱が伝わる形でほぼ一定に保たれていますが、熱が体表に達しなくなると寒い中にいるのと同じで、寒気と震えが起こるという理屈です。
 寒気の時期には、皮膚には寒さイボ(鳥肌)が現れ、体は熱いのに手先足先は冷たいという現象が起こります。同時に起こっている震えは、筋肉を震わせることで熱を作っているのです。
 この時期の治療のポイントは、とにかく体を温めること。西洋医学にはそうした効果のある薬はありませんが、中医学には葛根湯や麻黄湯をはじめとして多くの漢方薬があります。
 実際、インフルエンザに麻黄湯を使ってみると、感触としてはタミフル並みの効果があるようです。さらには、タミフルなどの抗ウイルス薬とは効き方が違うので耐性ウイルスにも効果が期待できます。
 そして、病原体との戦いが終わり熱の必要がなくなって起こるのは発汗です。暑いと汗をかくように、発汗には熱を捨てる効果があるからです。麻黄湯など使うと発汗が起こり解熱しますが、そのまま使い続けると発汗が続き低体温を起こすことがあるので、発汗が起こり始めたら内服をやめる必要があります。

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【77】 腸重積について
25.1.26.

 小児科医にとって、もっとも怖い病気かもしれません。
 重症な病気が重症そうであればそれなりの対応もとれますが、さほど重症そうに見えなくても、見逃していると死に至ることもある病気だからです。
 腸は、消化吸収と同時に消化物を肛門に向けてしぼり出す運動をしていますが、色々な原因で腸の一部の動きが滞ると、その後ろでしぼり出し運動をしていた腸が、動きの悪い腸の中にもぐりこんで元に戻らなくなることがあり、腸重積と呼ばれます。
【疫学】 3か月〜6歳の子どもに多く、1歳未満の赤ちゃんに特に多く見られます。男女比は2:1程度です。発生頻度は、1万の出生当たり5人くらいと言われています。
【症状】 腹痛(不機嫌)、嘔吐が、時間をあけて繰り返し起こります。間欠的腹痛、間欠的嘔吐と呼ばれ特徴的な症状です。やや遅れて苺ジャム状の粘血便がみられます。腹痛、嘔吐のない時間でも、顔色が悪かったり、元気がなかったりします。
【診断】 右上腹部に、ソーセージ様の腫瘤を触れますが、啼いている赤ちゃんでは分かりにくいことも多いです。もっとも確実かつ安全なのは超音波による診断です。発症から時間がたつほど病変部の腸のむくみと循環不全が強くなるので、より早い診断が必要です。
【治療】 レントゲン透視下か超音波下で、造影剤液か空気を肛門から入れて、その水圧か空気圧でもぐりこんだ腸を元に戻すのが一般的です。それでも戻らない場合は開腹して手で絞り出すように戻す方法がとられます。腸の状態が悪いときには腸切除を行うこともあります。
 赤ちゃんが、間をあけて、啼いて吐くことがあったら思い出してください。

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【78】 下痢の食事
25.2.2.

 下痢のとき何を食べさせてよいのか。お粥ぐらいは思い浮かびますが、それ以外は何をあげればよいのか悩まれる方も多いはずです。
4つの原則から食品を探すとよいと思います。
@ 固形成分の少ない食物:下痢をしているとき、体は消化吸収をいやがり、胃の出口を細めるので、食物が通過しにくくなっているからです。例:お粥、スープ。
A 油の少ない食物:もともと子どもは油の消化吸収が苦手で、下痢のときはなおのこと。大人並の吸収力になるのは3歳ぐらいといわれています。例:魚なら、タラ、トビウオ。
B 乳成分の少ない食物:乳脂肪もさることながら、乳糖は水溶性食物繊維なのでもともと吸収されにくいうえ、腸に炎症が起こるとますます吸収されにくくなるからです。タンパク質の吸収は一般に悪くありません。例:豆腐、豆乳。
C 塩分とカリウムの多い食物:下痢や吐物によって、塩分やカリウムなどの電解質が失われるので、いつもより塩分は多めにして、リンゴやニンジンのすりおろしを加えておくと万全です。
 下痢しているのに「カレーライスが食べたい!」なんていう子どもがいます。カレー粉の薬効成分を欲しているのかもしれませんが、なにせ油が多すぎます。
 そこで、あいあい流和風カレーライス(うどん)のレシピをご紹介します。
 市販そばだし(かけ汁の濃さ)で長ネギをくたくたに煮て、そこに水戻ししてしぼった麩を入れてひと煮立ちさせ、カレー粉(S&Bの赤缶)を好みの量を入れて溶かします。水溶き片栗粉(水はできるだけ入れない)を、鍋をかき回しながら加えてとろみをつけ、軟らかめに炊いたご飯か、軟らかめのおうどんにかけます。下痢に最適です。

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