直線上に配置
【43】 虐待
24.5.24.
 今日、千葉柏で起こった虐待死に対する裁判で、母親に有罪判決が出ました。判決文が読まれる間、母親の涙は止まらなかったと報道されていました。
 最近、なんでこんなに虐待死の報道が続くのでしょうか。そうした家の外観がしばしば放映されますが、さぞ遊んだろうと思われる砂場用具や、三輪車、ボールなどが写っているものです。
 鬼母のように報道される母親たちの真実は、ただの普通の母親なのです。いくつかの総合病院で小児科医として勤務していた頃、虐待を疑わせるケースに何例か出合いましたが、母親たちは皆、子どもを愛おしく思っているように感じました。
 なのになぜ虐待を?そうした母親たちは、母親は耐えるべきものと考えているようで、無用の我慢をするうち見返りのない努力の果てに、心をしぼませてしまっているようなのです。
 自分のしたいこと、しなくてならないと思うことが、思い通りにできなくなり始めたら要注意。子どもを叩きたくなった、子どもを無視したくなった、子どもと一緒にいたくなくなった、子どもといるとイラつく、子どものために何かをする気がなくなった、などなどつらくなったら、子育てには、必ず逃げ道があるものですから、こんなことと思わずに、小児科医、児童相談所などにご相談ください。

直線上に配置
【44】 成人病と胎児
24.5.30.
 成人病の下地が胎児期に作られるかもしれないという話。
 何万人という老齢期の人々などを対象とした幾つもの疫学的研究で、出生時体重が低いと成人病の発症率が高まる傾向がみられたと報告されています。
 胎児が母体の低栄養にさらされると、遺伝子の制御系の機構に変化が起こり、将来的に高血圧、心臓疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどになる素因がつくられると考えられています。
 そうした素因に、出生後の過栄養、運動不足、加齢など負の生活習慣が加わり、成人病が発症するというのです。
 今日、若い女性のスリム化は一つの社会現象となっており、食糧難の戦後よりもスリムであるとさえ指摘されています。
 やせた状態での妊娠は、胎児の発育へのリスクと考えられ、事実、低出生体重児や早産児が多く生まれています。
 「小さく生んで大きく育てる」という言葉もありますが、どうやら危ない話のようです。
 先ごろ、ファッション誌「ヴォーグ」が、健康上の問題の提起から、やせ過ぎのモデルを使わないと発表しましたが、母親たちは、生まれてくる子どものために、やせの危険性についてもう少し配慮する必要がありそうです。
 なお、BMI(=体重kg/(身長m×身長m))では、18.5未満が「やせ」とされます。

直線上に配置
【45】 推奨ワクチン
24.6.7.

 昨年、日本小児科学会は、現行の小児へのワクチン体制では不十分であるとして、ワクチンの種類、間隔、回数についての推奨案を発表しました。
 主要な推奨点は、おたふくかぜと水痘は2回接種(現行1回)が望ましいこと、B型肝炎は乳児期に未接種の場合、思春期以降でも接種が勧められること。その他、ヒブ、肺炎球菌、ロタウイルスなどの任意ワクチンについても積極的に接種したほうがよい、というものでした。
 今般、水痘、ヒブ、ロタウイルスそれぞれのワクチンについて修正が加えられました。
 水痘ワクチンは、追加接種(2回目)の推奨年齢が「5歳以上7歳未満」から「1.5歳以上2歳未満」へ変更されました。1歳過ぎに接種した子どもたちの中に追加接種前に発症するケースが少なからずあったことがその理由です。おたふくかぜは1歳過ぎと「5歳以上7歳未満」の2回接種の推奨で変更はありません。
 ヒブワクチンは、3回の初回接種の後おおむね1年後の追加接種となっていましたが、より早期に十分な免疫力を獲得させるべきとの考え方から、12ヵ月からの追加接種(4回目)で十分な免疫がえられるという1文が加えられました。
 ロタウイルスについては、現在のロタリックスに加え、発売予定のロタテックも推奨ワクチンとして追加されました。前者は生後6週〜24週までに2回、後者は生後6週〜32週までに3回内服接種することになります(両者の合計価格は同じになる予定)。
 ワクチンについて、「何をどこまで接種すればよいのですか」というご質問をしばしば受けます。「すべて」が正答なのですが、高額な自己負担金の発生するワクチンのこと、「公費助成のあるものだけでも最低限接種してください」と言葉を濁しています。
 助成の点で比較的恵まれている品川区でも、1歳すぎまでに推奨されるワクチンを接種すると、その自己負担金額は(けっして高い方ではない当院でも)81500円になるのです。ふー。
子ども手当など支給する財源があるのなら、ワクチンの無料化にまわす方が賢明だと思います。

直線上に配置
<前  索引>  次>

あいあいキッズクリニックへ
思春期ブルー研究所へ