子育てブルー
大変な子育てが少しでも楽になるように、小児科医の目線から子育てノウハウを書いてみました。

目次
1.子育てブルー
2.泣き止まない
3.飽きる
4.発熱
5.いとおしさ


あいあいキッズクリニック・トップへ
思春期ブルー研究所・トップへ



1. 子育てブルー

親の願い
 どのように子どもを育てるか?
 親は誰しも、わが子には素直で、優しく、思いやりのある、そして、できれば頭のよい子に育ってほしいと願い、親それぞれがもつ知識と経験をもとに子育てします。
 しかし、なかなか親の願い通りという訳にはゆきません。
・・・
ヒトが人間になること
 ところで、ヒトという遺伝子をもった動物は、どうやって人間になるのでしょうか?
 幼い頃、母親は子どもにミルクを与え、おむつを替え、話しかけ、ほほ笑みかけ、時には叱り、一所懸命、子育てをします。
 なんとか人間に育てなくては、などとはふつう考えませんが、子どもは2〜3歳になるころまでには、いつの間にか、人間としての要素を備えてしまいます。
 子どもは親を見て、感じて、コピーしつつ人間としての基盤を築いてしまうのです。
・・・
狼少女
 もし育ての親が人間でなかったら?
 70年以上昔、インドの山村で推定年齢7、8歳の少女が二人発見されました。
 二人の少女は、保護された時、四つ足で歩き、狼そのままに寄り添うように眠り、夕方には遠吠えをし、腐った鶏の生肉を口だけでむさぼった、と伝えられています。
 狼に育てられた二人の少女は、46XXのヒト染色体をもちながら、習性からみれば狼であったという訳。
・・・
子育ての意味
 子育ての意味のひとつは、間違いなく、親の人間性を子どもにコピーさせることです。
 だから真面目に子育てをしましょう、なんて言いたいのではありません。
 どうせなら、ゆったり、穏やかな心をコピーしてもらいたいもの。
 それには、親の心身の健康がまず大事、といいたいのです。
・・・
子育てブルー
 個人差、子育て経験にもよりますが、子育ては基本的にストレスがかかるものと考えましょう。
 可愛いわが子を育てているのだから、などという考えに騙されず、精神的にイライラしたり、不安定になったり、あるいは必要以上に疲れたりするときは、「もしかしてストレス病?」ぐらいの考えはしておきたいもの。
 子育てが原因で起こる心身の不調を、「子育てブルー」と呼ぶことにしました。
 その解決法をご紹介してゆこうと思います。


子育てブルー・トップへ


2. 泣き止まない

■イライラの原因
 色々な方の子育てをみていると、ゆったりと子育てしている方も、なぜかイライラと子育てしている方もいます。
 人は、どんな時イライラするのでしょうか?
 イライラするのは、だいたい、物事が自分の思い通りに運ばない時か、自分ではうまくいっている思うのに、まわりが評価してくれない時です。
 子育てにおけるイライラの一番の元は、もちろん、子どもが思い通りにならないこと。
・・・
■泣き止まない
 赤ちゃんが泣いています。
 だっこ?
 だっこしても泣き止みません。
 おっぱい?
 まだ、時間があるはずだと思いつつ、おっぱいをふくませても、いやがって泣くばかり。
 おむつ?
 それも違うようです。
 じゃあ、何?
 新米ママは途方にくれます。
 ママと言えども人間、あまり長い時間泣かれると、イライラ。
 そんな時、「ちょっと暑いんじゃない」なんて知恵をかしてくれるお婆ちゃんや、「うちも大変だった」と共感してくれるお友だちでもいれば、少しは救われますが、「子育ては楽しみながら」なんて言葉はイライラがつのるだけ。
・・・

■赤ちゃんの泣き声
 お母さんの心が赤ちゃんに映ることは誰しも感じるところ。
 お母さんがゆったりしていると、赤ちゃんもゆったりと育ちますし、神経をつかってピリピリしていると、赤ちゃんもピリピリ、よく泣きます。
 では、どうすれば?
 ひとつの方法として、赤ちゃんの泣き声を聞き分ける、というやり方があります。
 単調なウンギャーウンギャーという泣き声は、お腹がすいた時とか、その気で聞いていると、最低3つ位の泣き方の区別がつきます。
 慣れた保健婦さんで6つのタイプの泣き声を聞き分けた、という話を聞いたことがあります。
 泣き声を聞き分けられると、何より便利なのは、『あらあら、こんな時間にお腹すかしちゃって、もうちょっと我慢してね』と、赤ちゃんに無用に振り回されなくなること。
 そうなんです。おっぱいなら、1時間位ほうっておいて、おっぱいが張るのを待ったって、どうということはないからです。
・・・
■手抜き 
 赤ちゃんが泣くのは、もちろん「どうにかして」というサインで、無視しつづければ、サインを出さない赤ちゃんになってしまう可能性もありますが、1時間位でどうにかなることはありません。
 子育ては、確かに楽しい面もありますが、基本的にはストレスがついてまわること、ストレスをためない工夫が大事です。それには、手の抜けるところを見つけて、できるだけ手を抜くこと。
 何に手を抜けばよいか?次回にお話しします。

子育てブルー・トップへ


3. 飽きる

小児科医の特権
 乳児健診をやっていると、しみじみと小児科医になってよかった、と思います。

 健康な赤ちゃんがニコニコ笑っているのをみると、その屈託のなさに、ほっと心が和みます。
 ちょっとおじいちゃん気分が入りかけているのかもしれません。
・・・

機嫌の善し悪し
 今日も、クリニックを鼻かぜで訪れた赤ちゃんと遊びました。
 あやすと、「くっく、くっく」と声をたてて喜ぶのです。
「ご機嫌ですね」と、問いかけると、やはり「くっく、くっく」と笑います。
「先生、家ではこんなに笑わないんですが」と、お母さんはちょっぴり不満顔。
 そうなのです、子どもは、環境の違うところに行くと、気分が変わるせいか、機嫌がよくなるもの。
 病院や診療所での子どもの元気工合や機嫌は、ちょっと差し引いて評価した方がよい、とつねづね思っています。
・・・
赤ちゃんは刺激が欲しい
 赤ちゃんの機嫌が、家であまり芳しくない理由は、環境に飽きるからですが、誰だって、いつも同じものを見ていては飽きます。それは、赤ちゃんも同じで、変わった環境に連れ出すと、興奮気味になります。
 わずか3ヶ月の赤ちゃんが、色とりどりのシクラメンを前にして、感極まった声をあげるのを聞いたことがあります。
 刺激を与えると、お話はできませんが、目つき、しぐさ、声などをつかって、赤ちゃんはこちらに沢山のことを語りかけてくるのです。
 家で無愛想にしている赤ちゃんは、つまらまくてつまらなくてたまらないのでしょう。
・・・
お母さんも飽きる
 と同時に、お母さんも赤ちゃんに飽きることは事実です。
 どなかたか、赤ちゃんの面倒を見て下さる方がいたら、お一人で、少し外出でもしてみて下さい。
 帰宅したとき、赤ちゃんを違った目でみているご自分に気づかれるはずです。
 要は、お互いに飽きのこない関係を作ること。それには、母親なんだからと、我慢ばかりしていてはいけません。
 つかず離れず程度の関係作りを工夫してみてはどうでしょうか。
 泣かさないように、泣かさないように、と頑張るよりも、たまには泣いて我慢をしてね、くらいの気持ちでいると、ずいぶん気分的に楽になるまずです。

子育てブルー・トップへ


4. 発熱

 赤ちゃんの突然の高熱。
 それまで元気そうにしていた赤ちゃんが、急にぐったりして、くるしそうな息遣い。
 「こんなに高い熱が出て、頭は大丈夫でしょうか?」 赤ちゃんの急な発熱は、お母さんにとっては、大変なストレス。
・・・
発熱の伝説
 熱が出たら下げる、これが長い間、医療の常識でした。 スイスのある地区では、子どもが熱を出すと、雪の降る戸外に出して、体を冷やすのだとか。

 イギリスでは、肺炎の子どものからだに濡れタオルを貼りつけて、扇風機で冷やすのだとか。
 更には、日本。子どもの熱が心配で病院へ電話すると、「タオルでまいた氷水の袋を、わきの下、足の付け根に当てておいて下さい」という答え。
 どの方法も、多くの子どもは泣きます。もちろん不快感から。
 38.5℃を超えたら解熱剤という説は、未だに、生きた伝説として語り継がれています。
・・・
発熱の意味
 最近になって、なぜ発熱するのか?という基本に立ち返って、発熱の意味が見直されています。
 人の体は、冷えにも熱にも弱いように出来ているのは事実ですが、その困るはずの熱を、なぜ自分がつくり出すのか?とても不思議です。
 不要な発熱であれば、長い長い進化の過程の中で、退化してもよいはずなのです。
 近年の研究でわかったことは、発熱によって人の免疫力が格段に高まる、ということでした。
・・・
解熱剤は要らない?
 発熱が免疫力を高めるのなら、解熱剤を使うことは、もちろん好ましいことではありません。
 しかし、同じ発熱でも、風邪の種類によって、子どもたちのつらがり方が違うのです。
 38℃前後でもつらそうな風邪もあれば、40℃近いのにそこそこに元気な風邪もあります。
 これはすべて体の監視役である脳のなせる業。
 「安静の必要な風邪だよ」、あるいは「ちょっとは動いても大丈夫」とか、脳からの指令に従って、子どもたちは動いているのです。
 では、解熱剤は不要?かというと、そうではありません。
 子どもが熱のために苦しがるとか、熱のために眠れないとか、という時には、やはり薬を使ってでも、熱を下げてあげるのが正しいのです。
 子どもに限らず、体の快、不快は、言葉をもたない体からの有力なメッセージなのですから。
・・・
どうすれば?
赤ちゃんの発熱。 顔色が青白いとか、痙攣を起こすとか、激しい痛みをともなうとか、発熱以外の症状がひどくなければ、寝かしておいてあげるのが正解です。
 発熱初期は、体が食べ物を受け付けられず、食欲が落ちたり、吐いたりすることもありますが、無理に食べ物はあげず、飲んでくれれば水分を補充するくらいで十分です。
 頭は大丈夫?
 自分でつくる熱ならば、41℃くらいまでは大丈夫です。
 体を冷やしたほうがいい?
 それは、子どもの反応で決めます。
 要は、子どものいやがることはしない。
 どんな場合も、これは子育ての大基本です。

子育てブルー・トップへ


5.いとおしさ

「お子さんを好きですか?」とお母さんに聞けば、
(なに馬鹿なことを聞くの)という顔で、「大好きです」と答えるでしょうし、
「お子さんを愛していますか?」と聞けば、「愛しています」と答えるでしょう。
わざわざ変な質問を作ったのは、
わが子に対する”いとおしさ”は、異なる二つの心に発展する可能性を秘めていることをお伝えしたいため。
・・・
愛へ
一つは、いとおしいゆえに、大好きなゆえに、子どものすべての要求、望み、願いを叶えたいという心が生まれること。
子どもの気持ちをそのまま受け止め、受け容れたいと思う心で、まさしく愛といえます。
気持ちの方向は、子どもからお母さんに向っています。
・・・
欲へ
もう一つは、いとおしいゆえに、大好きなゆえに、子どもを自分のものとして、自分の思うように動かしたいという心が生まれること。
言葉を換えるならば、所有、管理、支配したい欲ということができます。
気持ちの方向は、お母さんから子どもに向かっています。
・・・
勘違い
このように、いとおしさが愛と欲に転化することについて、
多くの母親は気づいていません。
ここで問題なのは、
同じ”いとおしさ”から生まれるものなので、
欲さえも愛と勘違いしてしまうことです。
・・・
どちらも
(じゃあ、どっちに進めばいいの?)という声が聞こえそうですが、
もちろん、どちらがよい、どちらが悪いというものではなく、
愛の姿勢も必要ですし、親の価値観を教え込むためには、
管理・支配する欲もなくてはなりません。どちらも必要なのです。
・・・
流れ
流れとしては、赤ちゃんの頃、
徹底して愛を求められたお母さんは、
子どもがある程度成長すると、、
がぜん欲の方に走り始める傾向があります。
過保護、過干渉の始まりですが、
(子どものためなんて思っているけど、
わたしが支配したいだけなのかもしれないわね)、
くらいの意識は欲しいものです。

子育てブルー・トップへ

あいあいキッズクリニック・トップへ
思春期ブルー研究所・トップへ