98. おなら

【おならの正体】
 私たちの腸は、日々食物を消化するために、休むことなく働いています。消化の主役を担うのは、消化酵素ですが、腸内細菌と呼ばれるばい菌も、食物を醗酵させることで、消化の助けをしています。
 世にいうおならは、醗酵の際に発生したガスと、口から胃に呑み込んでしまった空気が混ざって排泄されるもの。
 醗酵の異常や空気の呑みすぎは、頻繁なおならの原因になります。

【なんでもない】
 Sさんは、中学校1年生。
 もともと明るい性格のSさんの元気がなくなり始めたのは、6月に入ってまもなくのこと。
 学校から帰っても、ふさぎこむ日が多くなり、やがて朝も起きられなくなってしまいました。
 当初、母親の質問には、「なんでもない」と答えていましたが、学校へ行けなくなってから、次のように述懐しました。 

【たかがおならも】
 授業中にお腹が鳴ったのをきっかけに、また鳴るのではないか、もしかすると、おならも出るのではないか、と不安になり、学校にいるのが怖くなった、ということでした。
「このまま学校へゆけなくなるのではないかと、とても心配です。どうしたらよろしいでしょうか」母親と一緒に来院しました。
「実際に、おならが出たわけではないのですね」
「はい」とSさん。
「それでも、心配で、心配でしようがないのですね」
「はい」

【おならと心】
 お腹のガスを減らす薬と食事療法で、1週間ほど様子をみましたが、Sさんには、何の変化もみられませんでした。
「まだ、おならがでるような気がします」
 こうした場合、本当の問題は、気にしすぎる心の方。
 極端に物事にこだわる背景にあるのは、往々にして、心のエネルギーの消耗なので、心を膨らませる方策が、問題解決の早道になります。

【負の要素の排除】
 それには、ストレスの解消が上手くできない、毎日の生活で達成感を感じられない、親の干渉が執拗すぎる、などの負の要素を排除することが大切。
 夏休みを通しての母親の努力によって、Sさんは、9月から登校を始めました。
次回は「日々の対応」

「東葛まいにち」掲載記事より
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