96. 適応障害

【過剰反応?】
 皇室報道などで、すっかり有名になってしまった適応障害。
 それほど強いストレスでもないのに、受け手の反応が過剰なあまり、心身の変調をきたし、社会的な活動がうまくできなくなる病気。
 ストレスへの適応能力に問題があるという意味ですが、本人が敏感すぎるのか、ストレスが強すぎるのかの判断はけっして容易ではありません。

【突然の変化】
 S君は、小学校5年生。元は、明朗活発な子どもでしたが、中学受験のために塾通いを始めてから、様子が一変しました。
 口数が減り、ふさぎこむことが多くなり、昼頃起きて、朝方に眠る昼夜逆転の生活が始まりました。もちろん、登校はできず、心配した母親は、塾通いを止めるように提案しましたが、S君は、聞き入れませんでした。
やがて、粗暴な発言や行動が目立つようになり、可愛がっていた幼い妹までいじめるようになりました。

【原因は?】
「根は素直で優しい子なのですが、塾が負担なのでしょうか?」
 塾通いをきっかけに変調が起こったわけですから、塾を止めさせたら、と考えるのが理屈ですが、問題はそう単純ではありません。
 こうした迷路の本体は、ストレスによる心のエネルギーの消耗。消耗すると、ストレスに対する心身の反応がより過敏となって、さらに心のエネルギーを消耗することになる、言わば、心のエネルギーの悪循環。
 S君の場合、塾通いによって、時間的拘束が一気に増えて、仕事をもつ母親との会話時間が極端に減っていました。

【会話のもつ意味】
 母親との会話は、子どもにとっては、ストレスを発散させる術であり、逆に、会話の減少は、ストレスをためる原因となるもの。
 母親に、子どもの話を聴き切る具体的方法についてお伝えしました。
1ヶ月ほどで、S君の言葉数は増え、態度も、明るく穏やかに変化してゆきました。

【注意が必要な子】
 元々のストレスが、それほど強いものではなくとも、心のエネルギーの悪循環に陥ると、思いがけない迷路に迷うことがあるので、負担の増えた子どもでは、特に注意が必要です。
次回は「ひきこもり2」

「東葛まいにち」掲載記事より
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