95. 社会性

【社会性とは?】
 社会性とは、人が集団で生活してゆくために必要な特性。
 コミュニケーションによって人間関係をたもつ力、社会のルールを守る心、社会に貢献する気がまえなどが、基本的な社会性といえます。
 社会性の基盤は、多くの場合、親から子へと伝えられ、子どもたちは成長、体験を通して、独自の社会性を築き上げてゆきます。

【社会性が、、、】
 ところが、思春期の迷路に迷った子どもたちの中には、社会性の発達が停滞、あるいは退行する子がいます。
 D君は、私立中学2年生。変調が現れたのは、夏休み前のこと。それまで通っていた塾を突然やめ、学校へ行き渋り始めました。そして、夏休みに入ると、髪を茶髪に染めて、耳にはピアスを開けてしまう始末。
 やがて、友人の家に泊まると言っては、外泊を繰り返すようになりました。両親は、何度もD君を諭しましたが、「夏休みくらいいいだろ」と、ふてくさるばかりで、効果はありませんでした。
 さらに、始業式当日からは、一転、登校を含めて外出ができない、「ひきこもり」状態になってしまったのです。
 両親は、登校するように忠告もしましたが、その度に、D君は怒り、食器を壁に投げつけたり、壁を蹴破ったりと、粗暴な行動を繰り返しました。

【何故こんなに】
 思春期外来を受診されたのは、9月下旬のこと。
「元々やさしい子でしたのに、何故こんなに変わってしまったのか分かりません」と母親。

【エネルギーの消耗】
 D君の変調のほとんどは、心のエネルギーが消耗したことで説明できること、そして、自立期の子どもにとっては、親による提案、忠告、命令などが、抑圧ストレスとして、エネルギーを消耗させる原因となりうることをお伝えました。

【社会性の基盤は壊れない】
 通院を始めて半年、D君はすっかり落ち着きを取り戻し、少し外出するところまで回復しました。
「登校はしていませんが、以前のDに戻りました」と、母親の表情は和んで見えました。
心がしぼむと、社会性は一時退行しますが、社会性の基盤は壊れていないので、心の回復とともに、ちゃんと元に戻るのです。
次回は、「適応障害」

「東葛まいにち」掲載記事より
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