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【血液検査という言葉】 血液検査は、ちょっと不思議な言葉。 血液検査には、大体の病気が分るような響きがあり、結果に異常がなければ、病気ではないような気にさせる言葉です。 【よくあるケース】 J君は小学校5年生、母親と来院しました。 学校への行き渋りが始まったのは、5月初旬のこと。ご両親は、塾通いの疲れくらいに考えていましたが、毎朝、腹痛を訴え、次第に欠席する日が多くなりました。 心配したご両親は、近くの総合病院の小児科に行って、血液検査をしてもらいました。 「血液検査に異常はありません。お腹の痛みは、思春期特有の心身のバランスの崩れによるものと思われます」と、担当の小児科医。 【異常がなければ病気じゃない】 その話に父親は納得しませんでした。 「検査に異常がないのならば、学校へ行かないのは怠けだろう。J、明日からは、絶対に学校へ行け!」 父親の厳しい叱責に、翌日からJ君は学校へ通い始めましたが、それも1週間とは続かず、J君は部屋にひきこもるようになってしまいました。 「先生、どうしたらよろしいでしょうか?ここのところ、塾にも行かなくなってしまいました」 「お子さんへの対応方法について、ご両親一緒にお話しておいた方がよいと思います」 ご両親での来院をお願いして、その日の診療を終えました。 【何の病気?】 「血液検査には、大きな限界があります。思春期の不定愁訴の大半は、血液検査に異常はみられません」 父親は、腕を組んで私の話を聞いていました。「血液検査に異常はなかったようですが、お子さんの場合、その症状、経過からみますと、病気と考えてよいと思います」 「何の病気ですか?」と父親。 【ストレス病】 簡単に言えば、思春期のストレス病。ストレスによって自律神経バランスが崩れ、症状が現れるので、血液検査に異常がでることは稀なのです。 「血液検査に異常がなくとも、思春期には、急激な体の変化、親の抑圧、学校の抑圧、人間関係などの心身のストレスが、色々な体調不良を招くことがあります」 J君の復帰には1年以上の時間が必要でした。 次回は「ストレス病」 |