83. 疲れ

【つらい疲れ】
 思春期の子どもたちの最も多い訴えは、疲れ。口癖のように「疲れた、疲れた」を連発します。
 思春期の疲れのつらいところは、自分でも、しばしば理由が分からないこと。
「最近、何かというと、疲れた、疲れた、といってゴロゴロしています。一度、検査していただけませんか?」
 中学校1年生のD君が、母親に連れられて来院したのは、6月の初旬のこと。

【受験疲れ?】
 中学受験し、某有名校に入学。4月は元気に通学していたものの、5月頃からだんだん元気がなくなってきた、ということでした。
 至急でオーダーした血液検査では、貧血、鉄欠乏症、肝障害などの異常はありませんでした。
D君と1対1でお話を聴きました。
 中学受験に向けての勉強が大変だったこと、入学したときの喜びは、今までにないほど大きかったこと、しかし、最近は、学校の嫌な部分ばかりが目につくようになったこと、などでした。

【思春期の体】
一般に考えられる疲れの原因は二種類。体のエネルギーの消耗か、心のエネルギーの消耗。
 思春期の体は、夜眠りにくく、朝目覚めにくいもの。あまり活動に適さない体で学校へ行かなくてはならず、他の年齢層と比較して、同じ活動をしても、よりエネルギーを消耗しやすいのです。更に、睡眠不足が追い討ちをかけます。

【思春期の心】
 また、思春期の心は、脳の発達にともない、自分をより客観的に認識できるようになり、自分のことは自分で決めたいという衝動がおこる一方で、自分なりに努力しても、思い通りに事が運ばないストレスが、心のエネルギーを消耗させます。

【思春期を理解すれば】
 D君の場合、合格という目的の喪失、中学校への期待と現実とのギャップ、難関校ではトップクラスでいられない自分、子ども時代のままの親子関係などが疲れの背景にあるようでした。
 こうした場合、外からの助言、援助は、思春期の心を混乱させるだけ。思春期の体と心の特徴を伝えておき、本人の気づきを待つのがコツです。
 自力で問題を解決する達成感が何よりの薬。
 夏休み前までに、すっかり元気になりました。

 次回は「劣等感」

「東葛まいにち」掲載記事より
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