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【思い通りにゆかない】 不登校、拒食症など思春期病への対応に際して、親と子、父と母、親と先生の間などで、しばしば行われるディスカッション。 より受容的で、より建設的なディスカッションが望ましいことは、互いに承知しているはずですが、なかなか思い通りにはゆきません。 妨げの一つは、自分の主張を通したい、という本能に近い欲望。自分の主張が批判されたりすると、つい、相手の主張も批判したくなってしまうもの。 結果として、互いに相手を批判、否定しあう悪循環に陥って、ディスカッションの後に残るのは、実りどころか虚しさばかり。 【非協力的な父親】 「主人は、俺は俺のやり方でやる、と言って、相談にも乗ってもくれません」 中学校2年生、R君の母親の言葉でした。 父親の転勤にともなう転校をきっかけに不登校になったR君。 不登校になるほど、心のエネルギーを消耗してしまったR君を復活させる手立てとしての、親による受容。 母親は、自分なりに理解し、実践しようと努力しているのに、父親が自分勝手に子どもを怒ったり、強制したり、協力的でないというのです。 「話し合えば、必ず喧嘩になってしまうので、最近は話もしません」 【否定のない会話法】 そこでお教えしたのは、テーマと時間を決めて行うディスカッション法。ポイントは、相手の発言をけっして批判しないことと、相手の話をよく聴くこと。 自分の考えと相容れないような意見でも、両立することが可能かもしれない、くらいの気持ちで聴くようにする。 相手の話に便乗して意見、アイディアを発展させるのは、最も好ましい方法。 【会話から受容が】 1ヵ月後、「何も結論は出ていませんが、最近は、主人としばしば話せるようになりました」と母親は明るい顔で来院しました。 このディスカッション法は、沢山のアイディアが生れます。また、批判せずに互いの話を聴き合う過程で、双方に受容する心が高まる効果も期待できるのです。 メモをとりつつ、試してみませんか? 次回は「疲れ」 |