80. 思春期病、その後

【思春期病】
 不登校、無気力、精神不安、摂食障害など、思春期の迷路の根は、予想以上に深いもの。
 迷路に迷った子どもも親も、何で自分が、何でわが子が、と悩みます。
 その迷路は心の迷路。心への配慮なくして、迷路から這い出ることは出来ません。
 回復への道は、親が子の心を知り、子が親の心を知る道、とも言えます。

【気付かぬうちに】
「通い始めて、もう半年になりますが、分っているのに、できません」
 これは、摂食障害で通院していたOさんの母親の言葉。子どもの受け容れが、どうしてもできない、というのです。
「ここのところ、Oさんの表情はとてもよくなっています。これは、完璧ではなくとも、お母さんの受け容れ姿勢が、お嬢さんに映りはじめたサインだと思いますよ。過食の程度が、多少よくなっているはずですが」

「そういえば、少し減ったような気もします。先日も、食べた後、一度も吐かなかったことがありました」
【良くなっている!】
 子どもの小さな改善点に、親はなかなか気づきにくいものですが、良くなったサインを見逃さないことは、思春期病治療のポイント。

 受け容れという大変な作業も、十分な成果を伴うことが分ると、やがて、喜びをともなう作業へと変わってゆきます。

 更に半年が経ち、Oさんの体重は、正常域までもう一歩のところまでたどりつき、精神的な不安定さもすっかり影をひそめました。

「ここからの帰り道に、目の前が薔薇のように明るくみえる気がすることがあります」と、母親は受け容れる喜びを知り、
「毎日がとても楽です」と、自分の足で立つことの喜びを知ったOさん。

【思春期病はチャンス】
 これは、母子ともに、人間としてレベルアップした証拠。レベルアップの意味は、自己中心的になりがちな心から、相手の心を思いやることができるように変化した、ということ。
 思春期病の多くに共通することですが、問題を解決する過程は、人格を磨き上げる道に他なりません。万事塞翁が馬といいますが、思春期病も裏を返せば、人生にとって、絶好のチャンスともいえるのです。

 次回は、胸痛

               「東葛まいにち」掲載記事より
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