79. カウンセリング


【あいづち】
 人と会話するとき、あいづちを打つのは、意外と難しいもの。
 あいづちは、こちらが聴いているサイン、よいあいづちは、相手に元気と心地よさを与えます。
 S君は、私立中学の1年生。入学してから1ヶ月。登校はするものの、帰宅するとため息ばかりで、元気がなく、食欲も落ちてきた、と母親に連れられて来院しました。
 念のため行った血液検査には異常はなく、症状からは、無気力症候群と考えられました。


【カウンセラー化計画】
 母親には、思春期病が疑われる子どもへの対応法をお話しました。名付けて、母親カウンセラー化計画。
 カウンセリングには、助言や指示を与える方法もありますが、もっぱら話を聴く方法をお薦めしました。
 子どもは「話す」という言葉のボールを投げることで、自分が持ちきれない肩の荷(ストレス)を軽くしようします。そのボールの中身を詮索して、あれこれ意見や提案を詰め込んで、「分った!?」と投げ返しては、何のために言葉のボールを投げたか分らなくなります。
 ボールは、ただ受けておくだけ。受けたサイン(あいづち)をみせておけば、それだけで子どもの心は元気になってゆくという理屈。


【母親の特性】
 母親が子どものカウンセラーに向いている背景には、母性と基本的な母子関係があります。
 母性には、もともと、子どもを受け容れる能力や、子どもの痛みを自分の痛みと感じるような共感する能力が含まれています。
 また、子どもには母親を信頼する習性?(刷り込み)があるので、わざわざ人間関係を作る必要がありません。
 そして、子どもを守ろうとする母性は、(この方法で子どもが救える)と納得がゆけば、カウンセラーになることも可能なのです。
 1ヵ月後、「先生、本当に元気になってきました」と、母親は弾んだ声で来院しました。「もう少し頑張ってみます」


【治らない方が不思議】
 子どもの人格形成に大きな影響を与えてきた母親がカウンセラーになれれば、思春期病が治らない方が不思議な話なのです。
 次回は、「思春期病、その後

「東葛まいにち」掲載記事より
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