76. パニック障害


【突然の恐怖と不安】
 心におこる不安。
 消そうにも消えない不安は、しばしば、脳からの「心の活力が落ちていますよ」という危険信号。
 Rさんは、有名女子高の3年生。
 小学校、中学校と、成績は常に上位で、高校でも、成績上位者の特別クラスに入っていました。
 変調が現れたのは、夏休み明けのこと。学校から帰る電車の中で起こりました。
 急に、気分が悪くなりはじめ、やがて体から血の気がひくような感覚と同時に、心臓がドキドキし、息がつまって死んでしまうような恐怖に襲われました。


【不安の裏には】
 それ以降、電車に乗ることが怖くなり、数日は無理をして電車登校しましたが、登校途中の車内で似たような発作に襲われ、とうとう登校できなくなりました。
 母親と車で来院したRさんは、しっかりとした口調で、自分の変調について話してくれました。
 ところが、Rさんと一対一で面談するうち、過去の学業の話になるたびに、涙ぐむのに気づきました。
 母親から、「勉強しなさい」とは、一度も言われなかったものの、勉強しないで悪い成績をとることが怖かった、と述懐しました。
「今が一番辛いです。早くよくならないと、勉強がどんどん遅れてしまいます」
「自分で勉強はできないの?」
「ドキドキが、いつ起こるか分からないので、勉強したくても、集中できません」


【パニック障害】
 パニック障害。脳の働きを担う化学物質(神経伝達物質)の乱れが原因とされ、薬での治療が勧められています。
「薬はいやです」
 確かに、薬が有効かもしれませんが、誘因が推測される場合、まずそれを排除してみるのも一つの方法。科学的に、神経伝達物質の乱れが証明されてはいても、その乱れは、誘因による結果かもしれないのです。
 母親を交えて、誘因を取り除く方法について、相談しました。
「我が家のエースとして、期待していた面はあります」と母親。
 母親の姿勢の変化とともに、Rさんの発作は消えてゆきました。
 次回は、「心の読み方」

「東葛まいにち」掲載記事より
homeへ