70. 病気と親


【健康のありがたさ】
 世の中には、慢性の病気のために、医療機関に通いつづける人々が、けっして少なくありません。
 その手間と労力は、相当なもののはずで、健康であることのありがたさを痛感します。


【K君の場合】
 体臭が気になって不登校になった高校一年生のK君。体臭などにこだわり過ぎて、自由な行動ができなくなるのは、気力のなえた子どもたちがしばしば迷い込む迷路。
 母親の話では、K君は、小学校1年生の時、アレルギー性紫斑病で入院。その後、紫斑病が原因で腎臓病になり、定期的に病院通いをしていた、ということでした。
「それは大変でしたね」
「はい、一時は血尿、蛋白尿と出ており、お薬も毎日のんでいましたから。今は、お薬なしで尿検査の方も落ち着いています」


【病気と母親の心】
 いずれ治ってゆくと説明を受けながら、治療を受けていたようですが、母性をもった母親が、平常心でいられたわけがありません。
 子どもが入院するような病気になったり、長期通院をしなくてはならなくなった時、母親に起こる心理的な負担は相当なものになります。
「もう少し早く連れてくればよかったのでしょうか?」、「私が丈夫でないのが遺伝したのでしょうか?」など、自分自身を責める母親も少なくありません。
 こうした自責の念や、不安、心配が、結果として、過保護、過干渉につながり、子どもの自由な行動の、物理的、心理的な妨げになったとしても、なんの不思議もありません。


【関わりを減らして】
 そうでなくとも、思春期は、子どもの自立したい衝動が、親の価値観とぶつかり合って、身動きがとりにくくなる時期、K君が体臭にこだわり始めたのも、頷けない話ではありません。
「どうしたらよろしいのでしょうか?」
「病状が落ち着いた今、過去に関わりすぎた分、関わりを減らす努力をなさってはどうでしょうか?」と私。
 半信半疑で始めた、子どもを自立させるための努力。その後、1年近い時間がかかりましたが、K君は自立し、体臭を気にかけながらも登校を始めました。
 次回は「思春期と薬」

「東葛まいにち」掲載記事より
homeへ