67. 咳(セキ)


【咳は堰】
 セキは、川などの流れをさえぎる、「堰 (せき)止める」の堰が語源。「堰を切って」は、一気に、という意味。
 確かに、セキをする様子をみると、吸い込んだ息を、やや止めて、そして、一気に吐き出しています。


【セキと情報】
 H君は高校1年生。母親と来院しました。
「先生、アレルギーの検査をしていただきたいのですが」と母親。
 母親の話では、1ヶ月ほど前から、喘息のようなセキが、所かまわず、頻繁に出るようになり、なかなか治らない、とのことでした。
「私の父が喘息でしたが、よく似たセキです」
 H君に質問。
「夜、セキで起きることがありますか?」
 これは、セキを問題として来院した方に、必ず聞く質問。夜間のセキは、気管支が傷んでいるサインだからです。
「いいえ、起きることはありません」とH君。
「セキが出る時、息苦しくはありませんか?」
 喘息は、セキも一つの症状ですが、気管支の炎症のために空気の通り道が細くなり、息が吐きにくく、息苦しくなるのが大切な特徴。
「息苦しいことはありません」とH君。


【セキ払い】
 頻繁なセキという割には、待合室、診察室と、一度もセキをしないH君に、「今日はセキが出ないね」と聞いてみましたが、その言葉と重なり合うように、H君はセキをはじめました。しかし、普通のセキとはちょっと違うセキ。
 セキ払い。一見、セキのようにみえますが、口の前に手をおいて、セキと比較してみると、セキの方が、吐き出される息の量も、勢いも、はるかに大きいのです。
 念のため、簡単な呼吸機能検査と血液検査を行いましたが、異常はありませんでした。
「心配のないセキと考えていいのですか?」


【セキと名門校】
「いいえ、たかがセキ払いかもしれませんが、1ヶ月も続くのは、やはり問題でしょう」と私。
 詳しくお話を聞きました。
 H君は、名門校に合格したものの、勉強と校則が予想以上に厳しく、最近、遅刻、欠席が目立ちはじめた、とのこと。
 この後、H君とは思春期外来でしばらくお付き合いすることになりました。
 次回は、「氷食症」

「東葛まいにち」掲載記事より
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