55. アダルトチルドレン

【大統領も?】
 クリントン前大統領が、自分もそうである、と告白して以来、小さな市民権をえたアダルトチルドレン。
 自らの‘生きにくさ’に困惑していた大人たちは、その言葉に飛びつきました。
 ‘生きにくさ’の謎解きをしてくれた上に、自分自身への一種の免罪符の役目もしてくれたからです。

【本来の意味】
 もともとは、子ども時代、アルコール依存症の親から受けた精神的あるいは肉体的虐待が原因で、長じて、独特の心のキズに苦しむ大人たちの呼称。
 今では、親が親としての役割を果たせない(果たさない)家庭に育った場合にも、使われています。

【私がアダルトチルドレン】
「私がアダルトチルドレンだからでしょうか?」
 中学2年生の不登校中のお子さんのことで、思春期外来にいらしていた母親が、ある日、真剣な顔で言いました。
 不登校児への対応としての、受け入れ。理屈としてその意味は理解できても、実際の受け入れができないことを悩んでの結論のようでした。

【不登校と虐待】
 不登校の背景に、アダルトチルドレンを生むような子育てがあることは、十分推測されます。
 子どもの意思を軽んじて、親の価値観を押しつけること。肉体的な暴力ではありませんが、十分な虐待です。
 また、言うことをきかないと、たたくこと。たとえ、躾という大義名分がついていても、やはり虐待です。
「私は、母にとても厳しく育てられました。自分の子には、同じ思いをさせまいと思っていたのですが」

【子育ての伝搬】
 私たち親は、自分の受けた子育てを必ずしも良かった、とは思っていませんが、あいにく、それ以外の子育てを知りません。結局は、受けたものと似た子育てをしてしまいがちです。自分でよほど強く意識しない限り、子育ての仕方は、親から子に伝搬されてゆきます。たとえ虐待まがいの子育てでも。

【自己申告制】
 アダルトチルドレンは、自己申告制の言葉で、その特徴が自分にぴったりだと感じたら、その人はアダルトチルドレン。定義、解釈があいまいすぎる、という考えもありますが、悩む者が、心のありようを理解するのに役立つのであれば、それでいいのでしょう。
 母親は、自分がアダルトチルドレンであると考えることで、気持ちが随分と楽になったようでした。まず親が、自分には責任のない迷路から抜け出ることが、問題解決のスタート。
 次回は
「家庭」
「東葛まいにち」平成13年3月14日号掲載記事より
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