54. 思春期危機

【人間のタイプ】
 白黒人間と灰色人間。
 白黒人間は、ものごとの白黒がはっきりしないと落ち着かないタイプ。
 灰色人間は、べつに白黒はっきりしなくても、また、その中間的な灰色があってもいいじゃないか、というタイプ。
 どちらのタイプになるかは、親の遺伝や養育の仕方にもよりますが、思春期の心には大きな問題です。

【自分についての疑問】
 Sさんは高校1年生。母親ひとりで来院しました。
 中学3年生の5月の連休が明けから、表情が暗くなり、言葉数も減り、無気力になった、と言います。
 学校を休みがちになって1年余。中高一貫教育の女子校のため、進学はできましたが、最近では、週1、2度登校するのがやっと。
 Sさんは、「誰も私を必要としていない」、「生きる意味が分からない」、「なぜ私を生んだの?」、「死にたい」などと、ことあるごとに今ある自分についての疑問を、母親に投げかけました。

【短絡した考え方】
「生きる意味が分からない」ことから、「死にたい」と短絡する考え方は、白黒人間にしばしば見られること。
「、、、であるべき」、「、、、する方が正しい」と、固定した親の価値観で育てられた子どもが陥りやすい罠ともいえます。

【不安定な価値観と白黒人間】
 思春期の価値観は振り子に似て、揺れ動き安定しないもの。白黒人間の、早く確かな自分を掴みたいとの思いは、果たせぬがゆえに大きなストレスとなって、自分自身を蝕むことに。

【ストレスのゆくえ】
「何かにこだわることはありませんか?」
「毎朝、髪の先がはねているとか、形が整わないといって、洗面所から離れられず、遅刻したり、休んだりしています」
 思春期危機は、思春期に起こる心身の急激な変化に適応できず、精神病を思わせるような心理的不安定に陥ること。一時的な反応から精神病まで程度は様々。個人的な素因、環境が関係すると言われています。無気力は必発に近く、色々なこだわり行動も珍しくありません。

【解決法は?】
「どうすればよいのでしょうか?」
 感受性が鋭く、白黒人間傾向があり、親の枠をはめられた子どもが迷いやすい迷路、思春期危機。親の価値観の枠を取り除くのが第一歩です。
 試しに、子どもの価値観を最優先にしてみると、一時的反応タイプの子どもは、みるみる良い徴候を現し始めます。
 次回は
「アダルトチルドレン」

「東葛まいにち」平成13年2月14日号掲載記事より
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