53. 非行

【決まり文句】
 社会のルールに反する行いが非行。
 喫煙、飲酒から、万引き、恐喝、暴行、ドラッグ、援助交際、殺人などの犯罪まで、さまざまです。
「なぜ、こんなことをしたのか分かりません。まじめな子どもでしたのに」
 事件の後、決まり文句のようにくり返される関係者の言葉。

【二つの非行】
 非行には、まじめ型非行と不まじめ型非行があります。
 まじめに育てられた子どもが起こす非行と、家庭教育やしつけが十分でなかった子どもが起こす非行。
 周囲を驚かせるのは前者です。
 まじめに育てられたのに、なぜ非行に走るのでしょう?

【子育てと非行】
 まじめな子育てを受けた子どもは、親のまじめな姿を自分に映しつつ、まじめな子どもに成長します。
 こうした子育ては、もちろん、褒められるべきもので、責められるべきものではありません。
 ところが、ことの善悪をちゃんと教えたはずの子どもが、非行に走るのです。
 何が悪いのでしょうか?

【まじめな子育ての側面】
 実は、まじめな子育ての中に、危険な要素が隠れているのです。
 まじめな子育てをする親には、自分と違う価値観を受入れにくい傾向があります。良く言えば信念、悪く言えば頑なさ。
 まじめな子育てには、親の価値観ばかりを子どもに押しつけるといった側面がある、という訳。

【必要最低限?】
「必要最低限のしつけ以外は、自由に育てました」
 よく耳にする言葉ですが、「必要最低限」は、往々にして言葉だけで、意識しない押しつけが、頻繁に行われていたりするのです。
 現に、問題行動を起こした子どもたちが、口をそろえていうのは、「自由にさせてきたなんて、ウソだ!」です。

【非行は反発行動】
 こうして育った子どもが思春期を迎え、自立本能が芽生え始めた時、問題は一気に噴出します。
 反発行動としての非行。
 抑え続けられたことに対する無意識の反抗。
「どうしたらいいでしょうか?」と来院されるご両親の真剣な顔。まるで被害者のようですが、本当の被害者は子ども。

【非行の意味】
 まじめ型非行は、子どもたちの発する、「助けて!」という精一杯のサインなのです。
 まじめな子育てが非行を生むという皮肉。納得のゆかない親がいても不思議ではありません。
 しかし、これが現実。
 親が押さえつけを解きさえすれば、多くの問題は解決してしまいます。
 次回は、
「思春期危機」について。
「東葛まいにち」平成13年1月10日号掲載記事より
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