50. 対人恐怖症

【視線エネルギー】
 ふとした時、人の視線を感じて振り返ったことはありませんか?
 視線のもつ強いエネルギーが、体のどこかにあるセンサーを刺激したのかもしれません。
 人は普通、まわりの視線エネルギーがどんなに強くても、それを受け流したり、跳ね返すだけの力をもっているので、なんの支障もなく生活しています。
 しかし、それができなくなるとしたら。
 対人恐怖症という恐ろしげな病気は、視線恐怖症という一面を持っています。

【えたいの知れない緊張感】
 R君は、中学3年生。
 新学期が始まって間もなくから、教室にいると息苦しくなり、それでも我慢しつつ学校へ通っていましたが、やがて、電車に乗るだけで、息苦しさや緊張感を感じるようになりました。
 しばらくは、母親の協力で自動車通学をしましたが、やがて、朝になると頭やお腹が痛くなり、不登校に。
 近くの病院で検査を受けましたが、「異常はありません」と言われ、途方にくれて来院されました。
 学校へ行きたい、と訴えつつ涙を見せるR君。
「どうしたんでしょうか」という母親の顔は真剣。
 もともと敏感な感性をもつ子どもが陥りやすい罠。思春期にありがちな問題がきっかけとなって、自分は劣っているかも?という疑念は、強いストレスとなっておおいかぶさってきます。

【思春期の問題】
 思春期の問題とは、次のようなこと。
 自分の社会的、時間的位置関係が理解できるようになった割には、それ以上の先がみえない不安。
 自分自身の価値観で生きたいという衝動の一方で、確立されていない価値観への苛立ち。
 自立したいという無意識な欲求は、親や学校の支配的態度と衝突し、反抗期と呼ばれる不本意。
 自分の意思とは無関係に起こる体格の拡大と性的成熟。その変化があまりに急激であるために、心身が適応しきれないというアンバランス。

【手助けは要らない】
 このように、思春期には、数えきれないほどの負の要因が隠れています。
 回復させる方法は、問題のすべてを子ども本人に任せること。要は自立。
 余分な手助けは、問題を混乱させるだけです。
 R君の場合、対応が早かったことと、母親の納得の早かったことから、復活には、わずか3ヶ月ほどしかかかりませんでした。
 次回は、
「ひきこもり」について。

「東葛まいにち」平成12年10月14日号掲載記事より
homeへ