49. 母性と父性

【平等は同等?】
 男女は平等?
 男女が社会的に平等であるのは、大変良いことです。
 しかし、平等なのだから、何でも同じにすべき、という主張は、少し短絡的。
 女性には女性の特性があり、男性には男性の特性があります。互いに相手の特性を尊重することこそ、本当の平等だと思うのです。

【母性の問題点】
 母性は、女性のもつ素晴らしい特性の一つ。
 母性の意味するところは、子どもを慈しみ守ろうとする心。子育てのためには、不可欠の特性です。
 ところが、その母性も、子どもの成長にあわせて調整を加えないと、色々な問題の原因となります。
 思春期に入り、自立心の芽生える子どもたちにとって、母性行動の多くが、余分な介入、抑制、抑圧、と映りはじめるのです。

【どこが悪いのでしょうか?】
 小学校6年生のO君は、毎朝起こる腹痛や頭痛のため、学校へ行けなくなって、母親と一緒に来院しました。
 O君はひとりっ子。4年生の春から、父親の意向もあり、中学受験のための塾通いをはじめ、時には日曜日もつぶして、2年間、頑張ってきました。
 しかし、5月の連休が明けた頃から、体調をくずして学校へ行けなくなった、というのです。
 念のため、血液検査、X線検査など行いましたが、異常はありませんでした。
「どこが悪いのでしょうか?」と母親。
「しいて言えば、O君を取巻く環境かもしれません」

【受容と母性】
 真面目に育てられた子どもにみられる不登校には、親の受容姿勢が有効であること、受容にはどうすればよいか、を伝えました。
 2週間後、「先生、本当に不思議なんですが、Oが明るく元気になってきたんです」と母親。一度聞いただけで、ある程度の受容ができるのは、母性に元々備わった受容力のため。
「ただ、主人は、『そんなに甘やかして大丈夫か』というのですが、、、」

【母性と父性】
 父親にも来院してもらいました。
 父性には、母性ほどの受容力はありませんが、物事を概念的に理解する力は大きいので、受容の意味さえ納得すれば、母親のよい支援者となれるのです。
 O君の母親は、父親の協力によって、受容について相談したり、受容の成果としての子どもの変化に気付かされたりして、うまく受容できるようになりました。
 受験は断念することになりましたが、今では、公立の中学校に、元気に通っています。
 次回は、
「対人恐怖症」について。

「東葛まいにち」平成12年9月9日号掲載記事より
homeへ