48. ストレス

【コスモス】
 コスモスの花は、写真に撮りにくい、と聞いたことがあります。
 コスモスは風と友だち、いつも風にゆれて静止することがないから、だとか。
 そのコスモス、少々の強い風にもびくともしません。風の中でゆれ続けるうち、しなやかな幹、細長い葉、大地にはった強い根をもつ植物に進化してきたからです。
 コスモスにとって、風は相当なストレスであったはずですが、種子を遠くまで運んでくれる、ありがたい存在でもあった訳です。
 そのコスモスと風の関係は、思春期の子どもとストレスの関係に似ています。

【こんなことも分からない!】
 S君は、中学2年生。
 入学後間もなくから、朝になると頭が痛くなり、学校を休むようになって一年。
 色々とありましたが、2年生になって、S君は始業式から登校を始めました。
 ところが、3日目の朝、S君は頭痛を訴えて登校しませんでした。
 不登校をしていても、学期初めに数日登校する子どもは意外と多いものです。
「何かあったの?」と母親は聞きましたが、S君は「別に」と答えるだけでした。
 その日の午後、同級生の母親から電話が入り、「息子から聞いた話だけど、、」と前置きして、「昨日の国語の授業中、先生が、『学校を休んでばかりいるから、こんなことも分からないのだ!』と、S君を叱っていたらしいわよ」と伝えてくれました。

【母の困惑】
 母親は、混乱しました。まさか不登校の迷路から抜け出ようとしている子どもに、先生から、そんな言葉がかけられようとは思ってもいなかったからです。
「学校へ行って、一言申し上げてこようと思うのですが、いかがでしょうか?」と、私への電話。
「放っておかれてはどうでしょうか?S君は、もうそんなことではつぶれないと思いますよ。親の介入は、かえって好ましくありません」
 結局、S君は、その日一日、自分の部屋の中で泣き続け、翌日から登校しました。

【しなやかな考え方】
 休んでいたんだから、分からなくて当たり前じゃないか、と強い風にもしなやかな考え方で対応できたのです。何よりすごいのは、それを自分一人で処理できたこと。それは立派な自立であり、根が一段と丈夫になったことを意味します。
 この体験によって、S君の心は、更に逞しくなった、と考えられるのです。
 次回は、
母性と父性

「東葛まいにち」平成12年8月12日号掲載記事より
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