47. 不定愁訴

【不定愁訴】
 思春期の子どもたちを悩ます様々な体調不良。病院で血液検査などをしても、特別な異常が見つからないこともしばしば。
 病因が特定できない(不定)つらい訴え(愁訴)を、「不定愁訴」と呼びます。

【体の立場】
 私たちはこれまで、色々な症状について、熱が出れば解熱剤を、痛みがあれば鎮痛剤を、という風に、症状は悪者、消すべきもの、と考えてきました。
 ところが最近、症状について、その意味が見直され始めています。
 たとえば、熱はなぜでるのか?熱は本当に下げた方がいいのか?
 そんな見直しの結果、熱は、体の免疫力を高める大切な反応で、我慢できる熱は、下げない方がよいことが分かってきました。
 他の症状についても、体側の立場に立って、その理由を考えてみたら、という提案。

【薬の効かない腹痛】
 S君は、中学2年生。朝になるとお腹が痛み、学校に通えなくなって2ヶ月。
「毎朝、お腹を痛がりますが、痛み止めも効きません」と、お母さんと一緒に来院しました。
「よく効く痛み止めがあれば頂きたいのです。Sは、『学校へ行きたい』と言っていますし、お腹さえ痛まなければ、学校へ行けるはずなのです」と、お母さんは真剣な表情。
「どこか病院へは?」
「はい、行きましたが、体に異常はなく、血液検査にも、レントゲンにも異常はない、といわれました」
「食欲とかは、どうですか?」
「それが不思議なのですが、食欲はありますし、お通じの方も悪くないようです」
 お腹の病気とも思えない腹痛。

【体からのメッセージ】
 こうした原因の分からない、痛みなどの不快な症状は、往々にして、体からの警報。言葉を持たない体からの、症状を使った、「今の状況はまずいよ」というメッセージです。
 ですから、薬を使って、その症状を無理に抑えようとすると、体は益々その症状を強めて、状況の改善を催促してきます。

【メッセージに従えば】
 S君の場合、本人の気持ちとは裏腹に、学校へ行くことに、体が腹痛という警報を出しているように見えました。
「1、2日、欠席するときめて様子をみてみませんか。薬がなくても、ひどい腹痛は消えるはずです」
 S君はうなずきました。
 S君が学校へ通い始めるのに、そう長い時間はかかりませんでした。
 次回は、
ストレス

「東葛まいにち」平成12年7月8日号掲載記事より
homeへ