43. 燃え尽き症候群

【あしたのジョー】
 燃え尽き症候群。
 言葉の響きからは、全力を使い果たして燃え尽きた虚脱状態、とも聞こえます。漫画「あしたのジョー」の最終場面を連想される方があるかもしれません。ところがこの病気、そんなにあっさりとしたものではありません。

【燃え尽きるもの】
 もともとは大人のストレス病の一つ。対人を主な仕事とする人にみられ、対人関係での努力が報われず、空回りし続けるうち、心の受け軸がくすぶるように燃え尽き、疲労困憊、抑鬱、あるいは何によっても満たされない状態に陥る病気です。

【事の始まり】
 S君は、中学校2年生のテニス部員。
 6月の上旬、最近元気がなく、食欲もなくなってきたと、母親と共に来院しました。
 中学校1年生の1月、クラブ内のいざこざで、突然キャプテンを任されたのが、事の始まり。もともと明るく快活だった彼の元気がなくなり始めたのが春休みに入った頃。5月の連休明けからは何をする気もしないと、練習はもちろんのこと、学校も休みがちになりました。
 母親は、何度か「部活でなにかあったの?」と尋ねましたが、答えはいつも「なんでもない」ばかり。
 母親が、同級生の母親経由で聞いたところでは、先輩たちのいやがらせにあい、困って、コーチに「キャプテンを止めたい」と頼んだが、「他に適当な部員がいない」と、聞き入れられなかった、とか。

【回復不能】
 その落ち込む様のひどさと本人の希望で、入院することにしました。
 疲れ、頭痛、食欲不振、不眠などについて、一応の検査は行いましたが、特別な異常はありませんでした。
 入院は2カ月にわたりましたが、やる気のなさと元気は元には戻らず、夏休み明けからは、通学を始めたものの、テニス部に復帰することはありませんでした。

【子供にもストレス】
 今日、燃え尽き症候群は、小児、特にスポーツ選手にも見られることが分かってきました。報われない努力、気のすすまない努力を強いられた時、その危険性は倍加します。
 小児にとっても、人間関係の軋轢が十分すぎるストレスになることを、心得ておきたいものです。
 子供に、過剰な練習を強いてもいないのに、慢性的疲労、運動の成績の低下、無気力などのサインをみたら、要注意。
 次回は、
「思春期と栄養」について。

「東葛まいにち」平成12年3月11日号掲載記事より
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