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【食品添加物】 日本の食品添加物消費量の推移は、アトピー性皮膚炎の患者数の増加と一致しているそうです。さては、食品添加物が犯人か、と短絡してしまいそう。 【アトピー体質と不登校】 R君は、小柄な小学校六年生。 R君は、赤ちゃんの頃から、アトピー性皮膚炎と喘息で、病院への通院、入院を繰り返していまいした。小学校入学後は、入院はしなくなりましたが、月に4、5日は軽い喘息発作のために、学校を休んだり、遅刻したりしていました。 ところが、五年生の秋、ちょっと重めの喘息発作を起こしたのをきっかけに、学校へ行きしぶるようになり、六年生からは、まったく登校しなくなったと、お母さんと来院しました。 【こすりだしたら止まらない】 診察してみると、全身ひどいアトピー性皮膚炎。 「最近、喘息発作はないのですか?」 「学校を休むようになってからは減りました」とお母さん。 学校の話がでる度に、R君は目元をこすり、こすりだしたら止まらないという様子でした。 「ずいぶんかゆそうだね」 R君は、うなすきました。 「一度、入院してアトピーの方をよくしてみない?」 R君は、えっ、といった表情で、うつむきかげんだった顔を上げました。 「もちろん、治せるものなら治してみたい」と、目が語っているようでした。 【アトピーとお母さん】 入院は、1ヶ月ほどしました。 「どう、夜まだかゆくて眠れない?」 「かゆいけど、ずいぶん楽です。いつ退院できますか?」 「いつでも」と答えましたが、もう少し時間があれば、が本心でした。 実は、お母さんに分かってもらいたいことがあったからです。 幼い頃から病院通い、入院、食事療法、喘息発作、アトピーと、大変だったR君。 大変だったのは、R君ばかりではありません。お母さんもすべてに付き合ってきたのです。その中で、病気の子供をかばおうとするお母さんの母性が、R君への過干渉という結果となっても、なにも責めるべきものはありません。 【任せるべき思春期】 しかし、R君が思春期を迎えた今、すべての問題は彼自身に任せるべき時期がきたことを、お母さんに感じてもらう、そんな時間がほしかったのです。 退院後の診察日、「Rは、本当にしっかりしてきました」と言うお母さんの声は、晴々と聞こえました。 R君が、少しずつ登校し始めたのは、それから間もなくのことでした。 次回は、ヒステリー。 |