40. チック

【色々なチック】
 意味のなさそうな行動を、突然、無意識にくりかえすことをチックと呼びます。
 不思議と、肩から上の部分におこるチックが多く、代表格は、まばたきチックですが、首振りチック、眉上げチック、肩上げチックなどたくさんあります。男の子に多くみられます。

【お母さんのC君】
 C君は、小学校五年生。
 診察室に入ってきた母親の第一声は、
「先生、一度、C君の胸のレントゲンをとっていただきたいのですが」でした。
「どうされましたか?」
「もう、ここ二ヶ月ぐらい、C君の咳が止まらないのです」という母親の横で、C君は、ガホンガホンと、こもった咳をしました。

【診察上は異常なし】
 熱はなく、食欲もあるということでした。
 診察しましたが、のどは赤くなく、胸に聞こえる呼吸の音もきれいでした。
 胸のレントゲンにも、異常はありませんでした。
 少し、細かくお話を聞いたところ、C君は一人っ子で、父親は海外へ単身赴任中。今は、おばあちゃんとの三人暮らし。二ヶ月ほど前から、父親の考えもあって、塾通いを始めましたが、最近、行き渋っているということでした。

【咳をするチック】
「塾を少しお休みしてみてはどうでしょう」
「えっ、なぜですか?そんなことしたら、パパが何というか」
「ストレスで起こる咳があります。目をパチパチさせるチックが有名ですが、咳をするタイプのチックもあるのです」
 塾を休むことで、咳は治まりました。

【チックは心の病気?】
 近年、チックの研究が進み、脳に神経化学的な異常のあることが分かり始めています。
 かといって、チックは心の病気ではない、と考えるのは短絡的で、心へのケアが有効なケースも少なくありません。
 チックを起こしている子供たちをみると、「こんな環境から、早く出してくれ」と無言の叫びをあげているようにみえます。
 「こんな環境」とは、もちろん家庭と学校です。

【チックの背景】
 子供の敏感な心と、大人の思い込み教育のぶつかり合いが、しばしば、チックの背後には隠れています。
 C君の場合、父親が単身赴任で、子育ての責任の多くが母親にかかり、母親なりに、自分の枠のなかでC君を育てようと、頑張り過ぎていたのです。
 子供にすべてを任せることは、チックの場合にも十分に有効です。
 次回は、
「アトピー」

「東葛まいにち」平成11年12月11日号掲載記事より
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