39. シンナー・ドラッグ

【思春期のストレス】
 先がみえない、目的がない、生きがいがない、生きることを持て余しているなど、自分自身へのの戸惑いストレス。両親や先生からの、不必要なまでの命令、強制という抑圧ストレス。そこに、体調不良ストレスまで加わっては、気分転換程度では解消されません。

【リピーターの女子高生】
 Tさんは、高校1年生。
 はじめて、私の外来を訪れた理由は腹痛でした。それ以来、1〜2カ月に一度くらいぶらっと病院へやってきました。
 ところが、「診察しようか?」といっても、「別に、いいです」といい、「少し痛み止めでも出しておこうか?」といっても、「あります」と答えるのです。
 スカートを腰のところでぐるぐる巻きにして、立派な足をさらけ出して歩く姿は、とても、病気には見えません。
 看護婦さんからは、「あの子、何で来ているんですか?」と質問される始末。

【受診の理由】
「タバコ吸うの?」
 ある日、少し臭うのできいてみました。
「一日に二、三本くらいですけど。先生は吸わないんですか?」
「若いころは、煙り漬けになっていたけどね」
「なら、吸うな、体に悪い、なんて言わないですよね」などと、世間話をしばらくして帰って行くのです。
 きっと彼女なりに、心身のバランスが崩れかかったとき、話を、そのまんま聞いてもらうことで、バランスを整えていたのかもしれません。

【手を出す心理】
 タバコ、シンナー、ドラッグなどに手を出す心理。思春期独特の、鬱々とした気分での興味本位、もやもやとした反発心の一つの表現、あるいは、現実からの逃避など、中毒すると知りつつ、手をだす若者がいたとしても、心情的に、分からなくはありません。
 しかし、悪いものは絶対に悪い、のは事実。ただ、伝える方法がまずいのです。若者は、自分にのしかかりそうな人間の言葉には、はじめから、聞く耳をもちません。

【どうすれば?】
 必要なのは社会全体の啓蒙。シンナー、ドラッグなどの本当の害について、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、看板など、ありとあらゆるメディアを使い、見たくなくても、聞きたくなくても、自然に入ってくるくらいの徹底さが必要です。
 タバコや酒を止められない大人が何をいっても、相手には通じないでしょう。
 次回は、
「チック」について。

「東葛まいにち」平成11年11月13日号掲載記事より