37. 緘黙(しゃべらない)

【緘黙】
 人間、子供に限らず、みんなおしゃべりが好きなようにみえます。
 そのおしゃべりを止めてしまうのが、緘黙。かんもく、と読みます。

【学校でしゃべれない】
 Kさんは、小学校六年生。
「まったく口をきかないので、授業になりません。一度、病院で診てもらって下さい」という担任の言葉で、来院しました。
「まったくしゃべらないのですか?」
「いえいえ、家では、よくしゃべります。学校でだけ、だめなようで」
「学校では、先生とだけしゃべらないとか?」
「あまりお友達とも話さないようです」と、ため息まじりにお母さん。
「担任が、厳しいと評判の先生なので、いやなことがあるのかもしれません」

【なぜ、しゃべらない?】
 もともとしゃべれる人が、声をだす器官には異常がないのに、しゃべらなくなるのが緘黙という病気です。
 そして、同じしゃべらないにも二つあり、しゃべる気がなくてしゃべらない子供と、しゃべりたいのにしゃべれない子供がいます。
 お父さんべったりで、お母さんを不自然なまでに嫌う女の子がいました。
 お父さんとはニコニコと話すのに、お母さんとは一切口をききませんでした。
 どうして?という質問には、嫌いだから、と答えました。しゃべる気がなくてしゃべらないというわけ。

【しゃべらないのも拒否姿勢】
 二番目のしゃべらないは、思春期病によくみられる「○○したいのに、○○できない」パターンです。
 このパターンは、心の底にふくらんだ拒否の心が、自分のしたいことまで、無意識のうちに拒否するために起こります。拒否の心がふくらんだのは、子供が、無視、否定、拒否、あるいは強制されつづけたから、と考えます。
 ならばと、否定、拒否、などの影を取り去る努力をしてみると、ちゃんと、しゃべれるようになります。
 それは、受容と呼ばれ、子供を信じ、認めることに他なりません。

【受容はすごい】
 Kさんのお母さんにお願いしたのも受容でした。
 半信半疑で始めた、お母さんの子供受容作戦、もちろん、その旨は担任の先生にも伝えてもらいました。
「学校は何をすればいいでしょうか?」という担任の言づけにも、やはり受容と答えておきました。
 そして、半年近くたち、Kさんの声は、外からの抑圧が軽くなるのに合わせるように、少しずつ大きくなってゆきました。
 やはり、受容はすごい。
次回は、
過換気症候群について。

「東葛まいにち」平成11年9月11日号掲載記事より