33. 過敏性腸症候群

 思春期の子供たちが悩まされる色々な体調不良.主な症状は,立ち眩み,疲れ易さ,頭痛などがですが,消化器に関わる症状も意外と多いものです.

【治らない下痢】
 A子さんは,中学2年生のバトミントン部の選手.もともと下痢をしやすい体質でしたが,レギュラー選手に抜擢された4月ごろから,繰り返す下痢と腹痛に苦しめられるようになった,と来院しました.念のため行った,血液,レントゲン,便培養検査に異常はありませんでした.
 下痢はなぜ起こるのでしょう.
 誰でも,盲腸あたりを通る頃の便はビチョビチョです.それが,大腸を通るとき水分の多くが吸収され,形になった便となって排泄されるのです.その水分の吸収がうまくゆかないと下痢になります.

【下痢の種類】
 下痢症には二つのタイプがあります.
 ひとつは,細菌やウィルスの感染で腸に炎症が起こり,水分の吸収がうまくゆかなくなったり,腸の分泌液が増えて下痢となるもの.一般に悪臭のする下痢で,嘔吐,吐気をしばしば合併します.
 もうひとつは,大腸の動きが早すぎて,便の水分が十分吸収されないまま排泄されてしまうもの.こちらはあまり悪臭はありませんし,食欲なども普通です.過敏性腸症候群と呼びます.
 A子さんの下痢はこのタイプ.

【過敏性腸症候群】
 腸の動きを調節する主役は自律神経.遺伝的な体質に,精神的,あるいは肉体的ストレスが加わって,自律神経のバランスがくずれると,腸が動き過ぎて下痢になるという訳.逆に,動かずに便秘,という方もいます.
 週に7日も練習する厳しいクラブに所属し,レギュラーに抜擢されたA子さんは,心と体の限界を超えて頑張り過ぎたのでしょう.

【ストレス対策が特効薬】
「どうすれば?」
 練習量を減らし,レギュラーを外れれば治る理屈ですが,それはできない相談.
 そこで,しばらくは朝練は見学として,飲み薬で様子をみることにしました.
 A子さんの場合,薬がうまく効いて,2週間ほどで症状はとれました.しかし,全員が全員,薬で治るとは限りません.基本的には,生活リズムの調整とストレス対策が必要になります.
 運動選手の場合,朝練の中止など体のリズムにあった練習計画と,スポーツは常にストレスと隣り合わせ,という認識が大切です.
次回は,
微症状について.

「東葛まいにち」平成11年4月24日号掲載記事より