29. 思春期病の自己鑑定

【思春期病?】
 思春期病という病名は,たぶんどんな本を探しても見つからないと思います(思春期病学という言葉はありますが).
 思春期の子供たちが色々な問題に苦しみ,その程度が(一度,病院で診てもらっておきたい)と思える場合,それを思春期病と名付けることにしたのです.
 その理由は,不登校,拒食症,自律神経失調症など診断のつくものはいいのですが,それぞれ一応の診断基準があるので,基準を満たさないと,病気ではないように響いてしまうからです.
 十分な症状があるのに病気ではない.それではちょっとおかしいので,思春期病という仮の病名を作った訳です.もちろん,診断のついた病気も思春期病の中に入れてしまうこともできます.
 こうして,思春期の色々な訴えを思春期病としてひとくくりにしてみると,意外なほど共通点があるのです.

【思春期病の共通点】
 その共通点から,自分の思春期病がどのくらい重症か?自己鑑定することができます.


 次の24項目の中から,だいたいそうだ〜まったくそうだ,と思えるものを数えてください.

【日常生活】
1.風呂に入るのは週に3回以下である
2.夜眠るのは午前1時を過ぎることが多い
3.昼間の服のまま寝てしまうことが多い
4.自分の部屋はすごく散らかっている
5.食卓以外で食事する,あるいは食事が不規則
6.一日4時間以上はテレビ・ディスプレイの前にいる

【学校について】
7.学校を休みがちである(理由があっても,なくても)
8.学校の規則が厳しすぎる(欠席中の場合は,過去形で)
9.先生とどうも相性が合わない(欠席中の場合は,過去形で)
10.授業,勉強に集中できない(欠席中の場合は,過去形で)
11.友人関係がうまくいっていない(欠席中の場合は,過去形で)
12.教室の中にいると落ち着かない(欠席中の場合は,過去形で)

【からだの症状】
13.頭痛,腹痛,めまいなど不快な症状が週3日以上ある
14.朝起きたくても起きれないことが週3日以上ある
15.疲れやすく,寝ても疲れがとれない
16.微熱が長く続くことがある
17.何もできないくらい体調の悪いことがある
18.食欲がわかず,少し食べても満腹になってしまう

【こころの症状】
19.イライラしやすい,感情のコントロールができない
20.こころが不安定なのを自分で実感できる
21.こころで思ったことと行動がよく食い違う
22.何かをしようとする気力がわかない
23.気持ちが暗く不安感や敗北感を感じる
24.暗い場所にいる方が落ち着く


  【思春期病の重症度】

19〜24:思春期病の悪循環の中に入り込んでいます.
      独自の回復はとても難しいと思います.
      
【思春期病への対応】を参考にして下さい.

13〜18:思春期病として,ある程度進行した状態です.
      
【思春期病への対応】を参考にして下さい.

 7〜12:思春期病の準備段階,早めに対策を考えましょう.
      自己鑑定スコアーの悪化がないか注意.
      
【思春期病への対応】を参考にして下さい.

 1〜 6:思春期病の要素がない訳ではありません.
      自己鑑定をたまに繰り返してみましょう.

なお,思春期病の治療経過をみるには,
【学校について】を除いてスコアーをつけてみて下さい.
治療がうまくゆくと不思議なくらいスコアーがよくなります.



【思春期病への対処法】


自分に問題はない,と思う
自分に問題がある,と思う


































自分に問題はない,と思う

自分に問題はない,と信じていて下さい.
あなたを取り囲む環境にひそむ問題をみつけるのが第一歩,
ただ,それを見つけるのは,多分,独りでは無理だと思います.
相談できる人を見つけます.
それは,小児科医,臨床心理士,カウンセラーなどです.
ただ,見つけるのがちょっと難しい?
インターネットを頼りに探すのもいいでしょう.
そこで,あなたは,

外出できる
外出できない
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外出できる

小児科医,臨床心理士,カウンセラーなどののいる病院を訪ねてみて下さい.
会ってみて,どうも?と思ったら,他の病院へ行きましょう.
相性がとても大切ですから.
しばらくどこかの病院に通ってみたら,2週間ごとに,自己鑑定テスト(【学校について】は除いて)をやり直してみてください.
4週間ほど様子をみて,スコアーに改善傾向がないようでしたら,自分自身の問題についても考えてみましょう.

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からだの問題としても考えたい

































外出できない

話のできる相手を見つけましょう.
話をしてくれる人より,話を聞いてくれる人.
Eメールなんかもうまく使うと,機密性が保たれている分,本当の気持ちが書けて,話を聞いてもらうのと似た効果があります.
チャットは,あまりお勧めしません.
小児科医,臨床心理士,カウンセラーなどのいる病院へは,親に行ってもらって下さい.
−−−ご両親へ−−−
会ってみて,どうも?と思ったら,他の病院へ行きましょう.
相性がとても大切ですから.
子供を中心においた話のできる方でしたら,しばらく任せてみましょう.
親自身がカウンセリングを受けるだけで効果のある場合もあります.

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からだの問題としても考えたい
























自分に問題がある,と思う

ご自分の問題は,

こころの問題だと思う
からだの問題だと思う
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こころの問題だと思う

こころの一番の特徴は,こころの中身のすべてを自分が作っている訳ではないこと.
こころは周りを映す鏡.
あなたが暗い気持ちでいるなら,その周りにあなたを暗くする何かがある.
あなたが明るい気持ちになるとき,周りには明るくする何かがある.
人間は誰だって,束縛されるのが嫌い.
束縛されれば暗くなる,自由にされれば明るくなる.
あなたを自由にしてくれる人を探そう.
そのために,

外出できる
外出できない
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からだの問題だと思う

思春期は,そうでなくともからだのバランスがくずれやすい時期です.
頭痛,めまい,腹痛,だるさ,繰り返す下痢,寝起き不良など,数え上げればきりがありません.
多くは,思春期の一時的な症状ですが,病気が隠れていない訳ではありません.
病院に行くべきかどうか迷う程度の症状もありますが,
症状が長く続く場合,だんだん気分まで滅入ってきてしまうことがあります.
一度,病院で診察を受けておくといいのですが,

病院に行ける
病院に行きたくない
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病院に行ける


思春期までは小児科医にかかるといいでしょう.
ですが,小児科医すべてが思春期の病気に詳しい訳ではありません.
納得できる説明がないときは,別の病院を訪ねても.
血液検査など病院での検査に異常がなければ,
多くの場合は,思春期の一時的な症状か,こころのからんだ問題かも知れません.
思春期の一時的症状の場合,自律神経失調症,起立性調節障害,起立性低血圧,過敏性大腸炎,アレルギー性緊張弛緩症候群などと診断され,生活上の注意と,薬を飲むことで楽になる場合が多いようです.
2週間ごとに,自己鑑定テスト(【学校について】は除いて)をやり直してみてください.
4週間ほど様子をみて,スコアーに改善傾向がないようでしたら,
こころの問題にも注意する必要があります.

こころの問題を考えたい
こころの問題とは思えない
生活上の注意について知りたい
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こころの問題とは思えない


 こころの問題は意外と自分では分りにくいものです.病は気からという言葉がある通り,ちょっとしたこころへのストレスが生活の中に隠れている可能性もあります.
少しの間,勉強や仕事の量を減らしてみるのもいいでしょう.
ストレスかも知れないから,と一気に止めてしまうのはかえって逆効果です.
独りでいる時間が長い方は,人と関わる時間を,
人との関わりが多い方は,独りになる時間をもつのも一つの方法です.
こころの問題の変化は一般に,からだの問題の変化より早くあらわれますから生活上の工夫がうまくいったかどうかは,比較的すぐに判断できます.


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病院に行きたくない


病院に行きたくない,はごく自然な気持ちです.
医者をやっている私も,病院にかかるとなると,気分は引き気味になります.
ところで,
思春期のからだの異常の多くは,からだのリズムのくずれから発生しています.
ですから,
からだのリズムの調整をすることが,そのまま治療につながる場合が少なくありません.
病院に無理して行く前に,生活リズムの調整を試みてはどうでしょう.
朝起きることと,夜寝る工夫をすることが第一歩.

その方法を知りたい
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【生活調整法】


★朝起きることの工夫
1.決まった時間に起きる(休みの日も)
 いつも起きていた時間より30分ほど早く
2.体温を上げる工夫をする(次から1〜2)
 お風呂にはいる
 シャワーを浴びる
 飲食をする(熱いもの,辛いものが効果的)
 乾布摩擦をする
3.ストレス源をなくす
4.日光浴をする(からだのリズムが整う)
5.朝は激しい運動をしない
6.蛋白質の多い食べ物を食べる
7.できれば早寝する

★夜寝るための工夫
1.日光浴をする(からだのリズムが整う)
2.炭水化物中心の食事にする
 バナナが効果的なのは有名です
3.寝ようとする前1時間は一切行動しない
 テレビもみない,歯も磨いておく,トイレにもいっておく
4.無理に寝ようとしない
 からだを横に休めるだけでいい位に思っておく
5.自律訓練法をマスターする
 仰向けに寝て,深呼吸を4,5回したあと,
 手足が重たくなる−>手足が温かく感じる−>心臓が静かにうっている−>呼吸が楽だ−>胃のあたりに温かさを感じる−>額が涼しい,と順番に,各合間で気持ちが穏やかだ,と自分に暗示をかけつつ,そうなるように訓練する.
 手足が重たくなる−>手足が温かくなる,だけを訓練しても効果的.片手,片足ずつ訓練すると成功しやすい.気持ちが穏やかだ,とこころの中で思うのを忘れずに.
 無理にしようと思わずに,自然になってくれるだろう位に思っていた方がうまくゆく.

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