26. 敏感な感性

【なんでうちの子が】
 「なんでうちの子が...」
 不登校,拒食症,家庭内暴力などの迷路に迷いこんだ子供をもつ親の多くが思うこと.そして,その「なんで」という思いの裏には,まじめに育ててきたのに,という疑問と戸惑いが隠れています.
 「多少は厳しくしつけたかもしれない.けれど,他の家より特別ひどくした訳でもないし」と親は思う.その思いの通り,子供たちは礼儀正しく,素直に育ち上がっている,ように私にも思えます.

【思春期の感性】
 では,何が?
 強いて原因を詮索するなら,子供たちの感性の問題なのでしょう.
 迷路に迷いこむ子供たちは,総じて敏感すぎる感性をもっています.
 その上に,思春期という時期がまずいのです.身体的には,成長のスパートと性ホルモンの攻撃を受けてバランスを崩し,精神的には,確かな自分をつかめず,ひとりの自分の中に発生するふたりの自分に撹乱されます.(「むずかしい思春期」参照)
 受け身で,弱い立場におちいった思春期の子供たちは過敏になります.
 人間誰しもマイナスの立場にあるとき,感性は研ぎすまされます.病院を訪れた患者さんが神経を研ぎすまし,医者から言葉以上の何かを感じとるのに似ています.

【過去をふり返ると】
 敏感な感性.もちろん,そのすべてが思春期に突然現れる訳ではありません.幼い頃に,強い反抗,登園拒否,他児虐待,動物虐待,など自分を支えきれなかった経歴をもっていることが少なくありません.
 逆に,「素直でいい子だったのに...」もよく耳にする言葉.親の表情,態度,言葉から,過敏なまでに多くを感じとる子供たちは,必要以上に従順にふるまうことがあります.

【過敏な感性への対応】
 こうした子供たちを不必要な迷路に踏みこませないためには,子供の感性の敏感さに気づいたら,できるだけ早めに,親からの指図,提案,命令,強制などをいっさい止めてしまうことです.
 「子供のためを思って...」と指図する親の心の奥底を覗いてみると,親自身の安心のための言動であることが珍しくありません.「将来のため勉強しなさい」,「自分で散らかしたものは,自分で片づけなさい」などと言いつつ,言ったことで自己満足する.もちろん効き目はなく,過敏な思春期の,心の反発を招くことになります.
 次回は,
思春期と性

「東葛まいにち」平成10年9月26日号掲載記事より
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