23. 繰り返し会話法

 受け入れること.受容すること.思春期に限らず,心がらみの問題について,よく耳にする言葉です.ところが,具体的にどうするのか,なかなか分かりにくいもの.

【何を受け入れる?】
 お子さんの不登校のことで,ある病院を訪れたお母さん.「お子さんを受け入れてください」と言われました.「はい」とは答えたものの,どうしてよいか分からない.そこで,「何を受け入れればいいのですか」と質問すると,「お子さんのすべてをです」との回答.なにやら禅問答.
 その時,お母さんは,自分が自分の子供を受け入れていない,とは思っておらず,(どうすればいいの?)が本心でした.

【受け入れの意味】
 実は,受け入れるというのは,子供本人が,受け入れられている,と感じるようにすることで,親の思いとは別のものなのです.この,感じるように,という所が大切で,そのためには,言葉より態度で見せるのが早道になります.毎日のささいな行動の一つ一つから修正します.

【受け入れる方法】
 まず,話すことから.人の行動の中で,自分を表に出す一番の行為は,会話だからです.
「お子さんの話を聞くだけ聞いて,こちらの意見は言わないのがコツです」
「えっ.話をしてはいけないんですか」
「はい,話せば,ついこちらの考えを押しつけることになりますから」
「口をきいてはいけないのですか」
「できるだけ...そして,効果的なのは,お子さんの話の言葉尻だけを繰り返す方法です」

【話の聞き方】
 人の話を聞くとき,ふんふんという相槌よりも,「...だったの?」と反復して応えた方が,相手にこちらの聞く耳の大きさは伝わりやすいもの.これを私はオウム式会話法と呼んでいます.

【話の答え方】
「子供の質問にはどう答えればいいのですか」
「『あなたは,どう思うの?』が一番.次が,『難しいわね』でしょうか.本人に,自分で考えてもらうのが目的ですから」
「あまり話さない子なんですが」
「話せなかったのでしょう.ある心理学者は言っています『話をするのがきらいな子供はいない』と」

【受け入れが通じると...】
 受け入れを感じた子供の最初のサインは,言葉数が増えること,どこか明るくなることです.
 次回は,受容のテクニック

「東葛まいにち」平成10年6月26日号掲載記事より