22. 愛とは

 愛.いまさら何を,と思われる方も多いはず.ところが,この愛の意味,改めて問われると,意外と分からないもの.「好き」と同じ,と思われていることも少なくありません.

【愛の意味】
 一言に愛といっても,その定義はいろいろですが,この「思春期ブルー」の中で出てくる愛は,ただ一つです.その意味は,受け入れる心.

【好き,と感情の流れ】
 「好き」という感情,その対象となる相手は,人間的に,男性的に,女性的に,あるいは外見的に好ましいと感じられる人です.「好き」という感情によって,人は,暖かさ,ときめき,安心感など,心地よさを感じることができます.
 この時,感情の流れは,こちらから相手に向かっています.相手の気持ちがどうであれ,こちらが「好き」であればいい訳です.

【愛,と気持ちの流れ】
 それに対し,愛は少々現実的です.すべてを受け入れてしまう心.相手からの,助けて,守って,可愛がって,信じて,認めてなど,必ずしも言葉とは限らないメッセージに対し,躊躇なく応じてしまう心です.そこには,打算はありません.
 乳飲み子におっぱいをやる母親の姿に,私は愛の原点を見るような気がします.静かに乳をやる母親の姿には,一切の気負いなど感じられません.赤ん坊の要求のすべてを受け入れる用意がありますよ,と自然体で語っているようにみえるのです.
 気持ちの流れは,「好き」とは逆に,相手からこちらに向いており,それを受けとめるのが愛,という訳です.

【わが子が可愛い】
 親が子供を育てるとき,わが子を可愛いと思う心は「好き」の部類です.いつまでも自分の言うことを素直に聞いていてくれれば,それでいい.それで,親は心地よくしていられるのです.ところが,その「好き」を押しつけられた子供の方は,たまったものではありません.

【自立と愛】
 一方,子供を信じ,認める親の姿勢の中には,愛があります.信じられ,認められた子供は,自らの足で立ち上がります.すなわち,自立.言ってみれば,子供の自立のためには,親の愛が必要だと言うこと.

【思春期病の特効薬】
 不登校,拒食症,家庭内暴力,チック,無気力症候群,果ては,思春期自律神経失調症に至るまで,愛は特効薬となります.愛してみればわかるその効果.
 親みずからの思いより,子供の思いを優先する.できそうで,できない,この実生活上のノウハウを,次回からお話します.
 次回は、会話法について。

「東葛まいにち」平成10年5月23日号掲載記事より
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