19. 慈しむ子育て

 いじめの予防には慈しむ子育てが大切,と前回書きましたが,実際の方法について述べてみます.

【親の願い】
 どう子供を育てたらいいのか.親は誰しも,我が子には素直で,優しく,人に迷惑をかけない,そして,できれば頭のよい子に育ってほしいと願い,親それぞれがもつ知識と経験をもとに子育てします.であるのになぜ,親の願いとはうらはらに,いろいろな問題が起こるのでしょう.自戒の気持もこめて言えるのは,親の知識と経験など個人的なものに過ぎず,子供に押しつける程のものではない,ということです.

【ヒトが人間になること】
 ところで,ヒトという遺伝子をもった動物は,どうやって人間になってきたのでしょうか.
 幼い頃,母親は子供にミルクを与え,おむつを替え,話しかけ,ほほ笑みかけ,時には叱り,一所懸命,子育てをします.なんとか人間に育てなくては,などとはふつう考えません.しかし,子供は2〜3歳になるころまでには,いつの間にか,人間としての要素を備えてしまいます.子供は親を見て,感じて,真似しつつ人間としての基盤を築いてしまうのです.

【しつけの意味】
 その基盤のうえにものの道理を積み上げること,それが「しつけ」です.しかし,ものの道理などそんなに沢山ある訳もなく,やがて,一度教えたことの繰り返しになってしまいます.この頃から,子供は親に対する反発行動をみせはじめ,親の口からは「何度言ったら分かるの!」が連発されるようになります.もちろん.子供の心の中は,(一度言えば分かるって)です.

【慈しむ子育て】
 子供の反発は,子育ての転換期がやってきたサイン.教える子育てから,任せる子育てにスイッチする時期であることを示しています.親の’我’を捨て,子供の’我’を尊重すること.それが,子供を慈しむ子育ての基本です.
 これに対し,それは子供を甘やかすことにはならないか,という反論があります.しかし,子供の’我’を尊重するということは,甘やかすことではなく,信じること.甘やかすという言葉の裏にある,任せておいたら何をするか分からない,という不信とは逆の姿勢なのです.

【信じてみれば】
 信じられた子供に何が起こるか.これを知るには,実際に信じてみるほかはありません.そして,誰もが,こんなにも成長していたのか,と驚くのです.
 次回は,
父親の役割について.

「東葛まいにち」平成10年2月28日号掲載記事より
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