18. いじめ

【いじめは増えている?】
 いじめ,ひびきの悪い言葉です.こんな言葉が,新聞,テレビなどで取り上げられ始めたのは,そう遠い昔ではありません.いわく,いじめが減っていると.あるいは,一時影を潜めていたいじめが再び増え始めたと.本当でしょうか?

【いじめの本当】
 いじめは,人が人を慈しむことを忘れたところに生まれる,不幸な出来事だと思います.人を慈しむ心というのは,生来備わった本能のはずなのに,そこに,ねたみ,やっかみ,にくみ,いかりなどの感情が加わると,いとも簡単にこわれてしまう弱い本能なのでしょう.そんないじめが,現代の社会現象と思われていることが,不思議でなりません.人間のいるところ,弱い人間がいるところ,いたるところにいじめはある,という発想から始めなくては,いじめをなくすことはできないと思うのです.

【転校生】
 N子さんは12歳,小学校6年生.昨年の4月,転校してきました.もともと陽気で活発だったN子さんの元気がなくなり始めたのは,6月も半ば頃のこと,ほどなく学校を休みがちになりました.母親が,理由を聞いても「なんでもない」といっていたN子さんが,実はいじめを受けていたと知ったのは,ひとりの同級生の母親からでした.「転校生のくせに,生意気なのよ」と,いじめグループに同調する我が子をみて,N子さんの母親に伝えたのです.思春期の入口を入ってからの転校といじめ.自分の過去の人間関係を無理やり剥ぎとられる転校.新しい環境で,自分の居場所を作ろうとすれば,当然生じる,先住者とのトラブル.

【積極的取り組みがあれば】
 N子さんの場合,担任の先生が積極的に取り組んでくれたおかげで,クラスの中に,転校生への聞く耳と,つらさへの理解が生まれ,いい方向へ展開してくれました.

【黒い雪だるま】
 ところで,いじめをなくすために,家庭では何ができるでしょうか.
 親が子を慈しみ,受け入れること(「心は鏡」参照).慈しまれた子は人を慈しみ,受け入れられた子は人を受け入れることを学びます.慈しまれた子供はいじめをしない,人を受け入れる力をもった子はいじめられない,というわけです.よしんば,いじめられたところで,いじめに過剰反応しない子に育ちます.いじめという黒い雪だるまは,いじめられる側の反応が強いほど大きくなる傾向があるのです.
 次回は,
慈しむ子育て法について.

「東葛まいにち」平成10年1月24日号掲載記事より
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