14. 気管支喘息

【喘息の見分け方】
 「夜,咳が出て,ゼーゼーするんですが,喘息では?」
 よく,こんな質問を受けます.そんな時,簡単な見分け方をお教えしています.吐く息が長くなるのが喘息です,と.
 気管支喘息は,気管支がケイレンしたように細くなる病気.もともと気管支は,昼間に広がり,夜間に細くなるように,自律神経で調節されているので,喘息症状は夜に重たくなります.そこで夜の息遣いがポイント.吸う息と吐く息のバランスをみて,吐く時間の方が長く,肩で息をしたり,首の根元をペコペコへこませていたら,喘息の可能性が大です.

【思春期の喘息はこわい】
 さて,思春期の喘息は重症化するのでこわい,と小児科医はよくいいます.実際,小児喘息死の統計をみると,思春期以降に集中しています.呼吸筋が発達し,ぎりぎりまで我慢してしまう,あるいは,治療に対して前向きでなくなるから,といわれています.確かに,喘息の治療には,あれもだめ,これもだめと色々と規制が多いもの.一方,思春期は他からの規制に極端に敏感になる時期.このジレンマが喘息の重症化の一因とも思われるのです.

【ニセ喘息発作】
 A君は中学2年生,4歳のころ喘息と診断され,年に4〜5回の喘息発作を起こし,外来治療を受けていました.ところが,中学に入って,週に3度4度と発作を起こし,学校を休みがちになったというのです.ある日,A君を診察してみると,何か変なのです.ゼーゼー音と肩呼吸はあるのに,吐く息が長くないのです.ニセ喘息発作.正式な病名ではありませんが,心の問題を抱えた喘息患者さんにたまに見られる症状です.お母さんのお話を伺うことにしました.

【薬を飲まない理由】
 お母さんは手提げ一杯の薬をもって来院しました.「この子,こんなに薬を飲まないで隠していたんです.先生からもちゃんと飲むようにいってやって下さい」(薬を飲まないのに,起こっているのはニセ喘息発作だけ.薬はもう要らないのかもしれない)
 そこで,お母さんに「薬を飲む飲まないは,A君に任せてみませんか」と提案.A君には「もう,自分で決められるんじゃないかな?」と問いかけると,A君は目で軽く頷きました.それからというもの,発作はウソのように消えてしまいました.医者と親からの治療の押しつけがA君をニセ喘息発作に追いやっていたのでしょうか.
 次回は,
背が低い悩み,について.

「東葛まいにち」平成9年8月23日号掲載記事より
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