13. 睡眠障害

【記憶の引き出し】
 人はなぜ夢をみるのでしょうか.人は夢をみながら,頭の中身の整理をしている,という説があります.記憶の引き出しを一つ一つ開けながら,覚えておく記憶と,忘れる記憶を分別している,というのです.いやなことがあっても,一晩眠ると,すっかり忘れていたなんてことは,誰しも経験するところです.
 その眠りが妨げられる,が今回のテーマです.
 子供の頃の睡眠障害には,寝ぼけ,夜驚症などがありますが,「眠れない」,「起きれない」がやはり代表的なものです.

【思春期は眠れない】
 そして,思春期の睡眠障害の多くは,自律神経失調症によるものです.一番の問題はスパートという急激な骨の成長.骨の成長に追いつけない体の臓器はバランスを崩し,自律神経を介して,色々な症状を起こします.「眠れない」,「起きれない」といった症状は,体をあまり活発に動かさないための,脳による防御反応と考えられています.
 「眠れない」と訴える子供に,「ぐうぐう寝ているんですが..」というお母さんがいます.どちらが正しいか,専門家は,本人が「眠れない」と訴える場合,それが睡眠障害である,と言います.二つの例をご紹介します.

【肥満は不眠】
 T君は12歳.極度の肥満児でした.診察室,お母さんが「昼間,居眠りばかりして困るんです」という横で,彼は診察机に腕を枕に居眠りを始めました.入院して検査,治療することにしました.調べてみると,T君は,夜,横になると余分な脂肪が息の通り道(気道)を塞いで,血液中の酸素濃度が普通の子供の半分以下になっていたのです.酸素不足のため,体は正常な睡眠をとれずにいたのです.T君は,気道の塞がりをとる手術と1カ月の減量作戦で,睡眠中の血液の酸素量は正常化し,昼間の居眠りも解消しました.

【寝不足の裏にテンカンが】
 S君は10歳.元気がなく,「眠い」「疲れる」と訴える,と来院しました.
 「ちゃんと寝ているようにみえるのですが」とお母さんは心配顔.心の問題とも考えられましたが,脳波を調べたところ,明らかなテンカン性の異常波がみつかりました.早速,抗テンカン薬を処方しました.2週間後,「急に元気になりました.顔色までよくなって」とお母さん.その横で,S君は元気そうに笑っていました.睡眠中におこる特殊なテンカンのため,睡眠不足になっていたのです.
 次回は,
気管支喘息について.

「東葛まいにち」平成9年7月26日号掲載記事より
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