10. 心は鏡

【心のしくみ】
 ひとの心というのは不思議です。知らず知らずのうちに,周りの人々の心を測りとり,自分のものとしてしまう。たとえば,おだやかな気持ちで接してくる人には,こちらもおだやかに接しますが,反発的な態度の人には,こちらもついつい同じような態度になってしまうものです。言うなれば,「心は鏡」。
 前回,不登校はこどもの潜在的な拒否行動,と書きましたが,不登校を治療する鍵はこの中に隠れています。「心は鏡」を不登校にあてはめてみると,彼らをとりまくどこかに,拒否する存在のあることが予測されます。

【拒否する存在】
 その存在とは,こどもと最も関わりの深い存在,すなわち親です。こどもは親の心を映しつつ行動している,と言っても過言ではありません。親をみれば子がわかる,子をみれば親がわかる,と言われる所以でしょう。
 親の拒否?それは,子育ての中にみることができます。素直な子に育てたい,頭のよい子に育てたい,人に迷惑をかけない子に育てたいなど,親として当然の願いの中に,こどもの意志,希望,行動を抑えつけ,親の枠をはめてしまう危険性を孕んでいるのです。

【受け入れることの意味】
 学校へ行かない,と決めて少し元気を取り戻したK君。行きたいのに行けない学校へ,行かなくては,と思い続けたストレスが,彼から元気とやる気をうばっていたのです。不登校の治療の過程で,ここら辺はようやく登るべき山の麓に着いたくらいのところ,これから先は,両親の徹底的な協力がなくてはなりません。その協力とは,こどもを信じ,任せ,受け入れることです。そして,こどもの心に受け入れる心を映しだすのです。要は,生活の場面,場面で,一切の干渉,忠告,命令をなくしてしまうことです。

【受け入れてみると】
「学校へ行かないまでも,朝は早く起きてくれないと..」と,信じることとは程遠い注文から始まり,「ゲーム機を買ってくれといっているんですが,どうしましょうか」と,何が受け入れることかの疑問が生まれ,やがて,「ディズニーランドに連れてってといってましたが,時間が取れなかったので,1カ月待ってほしいと約束しておきました」と,甘やかしと受け入れの区別がつくようになる頃,K君は自分のタイムスケジュールに従った,自発的生活をするように変わってゆきました。
 次回は,
夜尿症について。