9. 不登校

【学校へ行きたい不登校児】
 不登校は登校拒否とも呼ばれ,「学校へ行きたくない」病と聞こえますが,実際には,行きたいのに行けないというケースが多いようです。また,行けない理由については,絶対にこれ,というものはわかっていません。たとえば,いじめがきっかけで不登校になったと思われる子供を,それでは,と転校させてみても,いっときは登校するものの再び不登校,ということも珍しくないのです。

【不登校の理由】
 そんな訳で,不登校の病因については色々な考えがあります。私は,子供たちの潜在的な拒否行動ではないかと考えています。拒否行動とは言っても,意識的な拒否ではなく,無意識のうちに体が受け入れ姿勢をとれなくなる,という意味です。なぜか?子供の考えや行動が,無視,否定,拒否され続けた結果だろうと考えられます。無意識のうちに登校を受け入れられなくなった子供たちは,登校しようと頑張り,そして出来ない自分自身に悩み,苦しみます。不登校は,子供たちの悩み苦しんだ末の結論ともいえます。ですから,彼らへの励まし,説得,強制などは,彼らを逆に追い詰めるだけのことなのです。

【不登校への対応】
 K君は中学1年生,入学後,元気に通学していましたが,6月頃より寝起きが悪くなり,朝の体調の悪さのため学校を休みがちになりました。そして,夏休みが明けてからは全く登校できなくなり,お母さんと一緒に来院しました。K君の肩は落ちて,表情もさえませんでした。念のため,血液検査をオーダーし,結果がでるまでの過ごし方を,次のように話しました。
 学校は休むと決めて,しばらくの間,登校の努力はしないこと,起床,食事,勉強など生活のすべては,K君が自分のペースで,自分で決めること,両親のK君への干渉は一切無用であること,などです。
 「はい」彼の目には,少し笑みがみえました。

【まかせてみれば】
 1週間後,「お陰様で,Kの元気が出て来ました。どこか表情も明るくなったようですし」と,お母さんは少し安心顔。「血液検査はすべて正常でしたよ」と私。「それで先生,いつから学校へ行かせたら」
 明日からとでも答えたいところですが,不登校はそんなに根の浅い病気ではありません。不登校を克服するために越えなくてはならない山を見つけ,ようやくその麓にたどりついた位のところなのです。
 麓から頂上までは,次回,
「心は鏡」でお話しします。