3. 朝練は体に悪い

【遺伝子も手を焼く思春期】
 子供の成長というのは,考えてみると随分と不思議です.小さなからだが,みるみる大きくなってゆく.皮膚も,筋肉も,血管も,心臓も,ありとあらゆるからだの部分が,バランスよく大きくなってゆく.それも,これも,すべて染色体の上にのっている遺伝子の,巧妙な技によるものなのですが,一時期,遺伝子も手を焼くときがあります.それが,思春期です.

【思春期のからだ】
 成長のスパート期にあわせて,一気に伸びる骨.骨には,骨端線とよばれる伸びるためのスペースが用意されていますが,筋肉,血管などには,そんなものはありません.骨の成長にひっぱられて,ただ引き伸ばされるだけです.ですから,正常な働きの筋肉,血管になるためには,少々の調整時間が必要になります.心臓にしても,急に大きくなったからだに,今までより多い血液を送り出さねばならず,より大きい負担がかかります.しかし,そこはよくしたもので,脳はからだに,「寝てろ,寝てろ」信号を送って,思春期のからだが目覚めにくいようにコントロールを始めるのです.バランスの悪いからだには,あまり活発に動かれたくないからでしょう.

【朝練が悪いわけ】
 前回お話しした,「疲れた,疲れた」を連発していた野球部のB夫くんが,早起き訓練と朝練の中止で,たった1週間で元気になった話に,「なんか信じられない」と感じられた方も多いかと思います.実は,早起き訓練ばかりが良かったのではありません.目覚めきれないからだにとって,大きなストレスであった朝練を止めることで,からだはかなり楽になったと思われるのです.

【他の悪いわけは】
 朝練が悪い理由は,他にもあります.
 まずは,睡眠時間が短くなること.ひどい例では,5時起きしないと間に合わない,なんて朝練もありました.規則正しい起床は,是非つけておきたい習慣ですが,眠る時間を短くしたいわけではありません.
 また,ごはんを食べずに朝練に出てゆく子供が,意外に多いのも問題です.からだは運動するとき,すぐに利用できるエネルギー源として,血液中の糖分を必要としますが,それを十分に準備できないのです.
 朝練はまた,疲れるわりには,トレーニング効果が低いものです.
 本来,健康によいはずのスポーツがからだを傷める.このお話しは少しばかり重要ですので,次回も
「スポーツの害」