1. 微熱

【思春期は何色?】
 思春期.この言葉から最も連想される色は,青だそうです.青春の青でしょうか.それとも,甘酸っぱい青リンゴの青でしょうか.ところが,この思春期,言葉のイメージとはうらはらに,青は青でも,思春期ブルーとでも言いたい位です.
 10歳を過ぎる頃から,子供たちは色々なからだの不調を訴えるようになります.いわく,お腹が痛い,頭が痛い,クラクラする,朝起きれない,などなど.この体調の悪さ,特に朝の悪さはハンパじゃなく,学校へ行けなくなってしまう子供さえいます.こころもからだも子供から大人への変換の時期,うまい切り換えをさせてあげたいものです.
 実際に,私どもの外来を受診された患者さんを例にとり(プライバシーは守りつつ),そのノウハウを,何回かに分けてお話ししたいと思います.

【微熱の続く女の子】
 A子さんは,10歳の女の子.お母さんに連れられて外来にやって来ました.
「先生,もう2週間ぐらい,微熱がとれないんです.」
「何度ぐらいですか.」
「37度少しです.この子の平熱は36.3度ですから,微熱だと思うんです.」
「元気と食欲はいかがですか.」
「元気も食欲もあり,セキもハナもでません.」
 外来で,これに似た話をよく耳にします.何の病気でしょうか.
 発熱は,新生児から思春期まで,子供の病気の症状で一番多いものです.大体は,カゼと思えばいいのですが,たまに,違う病気がまぎれこむのでやっかいです.

【平熱なんてない?!】
 ところで,平熱って何でしょう.「決まった平熱なんて,ないんですよ」とお話すると,たいていのお母さん方は,「えっ!?」といった顔をされます.ひとの体温は,1日中平熱として一定ではありません.朝低く,夕方高くなるように,脳によってコントロールされています.一日に0.5〜1.0度ぐらい変化します(図).朝の体温が36.1度だった元気な子が,夕方37.1度なんてこともある訳です.カゼなんかひくと,もっと極端で,朝37.2度まで落ちた熱が,夕方には39.8度なんてことも,よく経験することです.逆に,こうした変化がないのは,どこか変なのです.

【ピアノ熱】
 A子さんは,微熱にもかかわらず,1日の体温の変化は0.2〜0.4度で,朝低く夕方高いというリズムもありませんでした(図).血液検査に異常はなく,心因性発熱(心へのストレスが原因となる発熱)と診断されました.ピアノのおけいこを,ちょっとお休みすることで,すぐに微熱はなくなりました.
「ピアノが,そんなに負担になっていたとは思いませんでした」と,お母さん.
 次回は,
体温と寝起きの関係ついてお話しします.